27.夏の終わり
(9/9)
しばらくすると、木ノ葉方面から声が聞こえてきた。
振り返ると、サクラとカカシが親子を伴ってやってきている。
無事だとは既に聞いていたが、実際に元気そうな姿を見て、ホッと息をついた。
こちらの姿が見えて堪え切れなくなったのか、男の子がパッと駆け出してくる。
「お姉ちゃーん!」
マガナミは笑顔で手を振った。
あと50メートル。
そのまま飛び込んできそうな勢いだったので、受け止める準備をする。
しかし、捕えられている男の言葉を聞いて、笑顔が凍った。
「あの辺りにもトラップを仕掛けてある。あと20メートルだ!」
身体が勝手に動いていた。
筋肉が断裂するかと思うほど強く手足を振った。
一瞬でも早く、あの子のところへ。
それが今唯一受け付けられる脳の命令だ。
噛みつくように地面を踏み締め、抉るように蹴った。
一気に男の子との差を詰め、彼を後ろへ押す。
同時に、地面から棘のようなものが突き出してきた。
その棘は自分に向かって一直線に突き進んでくる。
大きな衝撃があった。
その衝撃はあまりに大きく、マガナミの身体では受け止めることができなかった。
マガナミの意識はふつりと途切れた。
20160528
(9/9)
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