生きている意味

27.夏の終わり


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だが、そのクナイはマガナミに届かなかった。

金属同士がぶつかり合う高い音がしたのと同時に、目の前に迫っていたクナイは視界から消えた。

男は素早くその場を離れ、変わりに大きな背中が割って入った。

「大丈夫か」

シカマルの背中だった。

「いの!」

「うん!」

いのが素早く滑りこみ、マガナミの傷口に手をかざした。

痛みが少しずつ引いていく。

チョウジとアスマの姿もあった。

助けに来てくれた。

みんなが。

「気をつけて。彼ら二人だけじゃない。それに、地面にトラップが仕掛けてあるの」

シカマルは振り返ってニッと笑った。

「大丈夫だ。もう済んだ」

「え?」

マガナミが辺りを見回すと、先ほどの二人を含めた忍があちこちに倒れていた。

十数人くらいだろうか。

こんな人数をたった三人で、こんなに短い間に。

マガナミは驚嘆のため息を漏らした。

これが、木ノ葉の忍。

アスマが険しい顔をして駆け寄ってきた。

「いの、どうだ?」

「うん、大丈夫みたい。応急処置したいから、もう少し待ってて」

アスマはそうかと表情を緩める。

そして破顔した。

「よくがんばったな」

マガナミはその一言で全ての緊張を解いた。

よかった、助かった。

だが大事なことに気付いて勢いよく起き上がる。

「あ、こらマガナミ、動かないで」

いのの注意に心半分で謝り、アスマに尋ねた。

「あの親子は」

アスマは頷く。

「大丈夫だ。どうしてもって言うんでな、今こっちに向かってる」

「そう、よかった」

マガナミは今度こそ安心して力を抜いた。

「はい、応急処置おしまい。でももう少し大人しくしてて。傷口開いちゃうと困るから」

いのは立ち上がる。

それを見たアスマが号令をかけた。

「さ、じゃあ後片付けだ。ちゃっちゃと済ませちまうぞ」

「了解」

四人は武器の回収や倒れている忍の捕縛を始めた。


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