27.夏の終わり
(8/9)
だが、そのクナイはマガナミに届かなかった。
金属同士がぶつかり合う高い音がしたのと同時に、目の前に迫っていたクナイは視界から消えた。
男は素早くその場を離れ、変わりに大きな背中が割って入った。
「大丈夫か」
シカマルの背中だった。
「いの!」
「うん!」
いのが素早く滑りこみ、マガナミの傷口に手をかざした。
痛みが少しずつ引いていく。
チョウジとアスマの姿もあった。
助けに来てくれた。
みんなが。
「気をつけて。彼ら二人だけじゃない。それに、地面にトラップが仕掛けてあるの」
シカマルは振り返ってニッと笑った。
「大丈夫だ。もう済んだ」
「え?」
マガナミが辺りを見回すと、先ほどの二人を含めた忍があちこちに倒れていた。
十数人くらいだろうか。
こんな人数をたった三人で、こんなに短い間に。
マガナミは驚嘆のため息を漏らした。
これが、木ノ葉の忍。
アスマが険しい顔をして駆け寄ってきた。
「いの、どうだ?」
「うん、大丈夫みたい。応急処置したいから、もう少し待ってて」
アスマはそうかと表情を緩める。
そして破顔した。
「よくがんばったな」
マガナミはその一言で全ての緊張を解いた。
よかった、助かった。
だが大事なことに気付いて勢いよく起き上がる。
「あ、こらマガナミ、動かないで」
いのの注意に心半分で謝り、アスマに尋ねた。
「あの親子は」
アスマは頷く。
「大丈夫だ。どうしてもって言うんでな、今こっちに向かってる」
「そう、よかった」
マガナミは今度こそ安心して力を抜いた。
「はい、応急処置おしまい。でももう少し大人しくしてて。傷口開いちゃうと困るから」
いのは立ち上がる。
それを見たアスマが号令をかけた。
「さ、じゃあ後片付けだ。ちゃっちゃと済ませちまうぞ」
「了解」
四人は武器の回収や倒れている忍の捕縛を始めた。
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