27.夏の終わり
(6/9)
ハッと身構えた瞬間に、右肩に激痛が走った。
男の放ったクナイが掠ったのだ。
思わず呻き声を漏らす。
マガナミの動きが止まった。
親子は、どこまで逃げられただろうか。
自分はもう少し食い下がれるだろうか。
「おー、ちゃんと木ノ葉の方向に走ってったな」
片方の男が、手を額にかざした。親子の走っていった方向を眺めている。
マガナミは眉を顰めた。
親子が木ノ葉へ辿りつけば、人を呼ばれる危険がある。
だが、彼らはむしろそれを歓迎しているかのようだ。
「どいういうこと」
男たちは鼻を鳴らす。
「だってお前、忍じゃないだろ」
マガナミはグッと押し黙る。
「ったく、オレたちは木ノ葉の忍連れてこいっつったのによぉ。どこでどう間違ったんだか。今度はしっかり連れてきてもらわねーと」
「木ノ葉の忍を連れてきてどうするつもり。みんなはあなたたちなんかに負けない。追いつめられるのはあなたたちの方よ」
男たちはいやらしく笑った。
「あの親子はオレたちが二人組だと思ってる。せいぜい連れてくるのは三、四人ってとこだろ。けどオレたちは二人じゃないんだなぁ」
マガナミは勢いよく周囲に首を巡らせた。
しかし、その気配を感じることはできない。
真偽を確かめることすらできないのか。
マガナミは自分の力の無さを痛感した。
あの親子は、もう大丈夫だ。
だけどどうしよう。
木ノ葉の人たちは、きっと助けに来てくれる。
敵に関する誤った情報を受けて。
彼らを危険に晒してしまう。
どうしよう。
どうしよう。
気持ちと共に、無意識のうちに足が一歩後退する。
右肩が焼けるように痛んだ。
「さて、それまで遊んでもらおうかな」
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