生きている意味

26.その後の二人


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――いつか――

シカマルは、声が聞こえた気がして辺りを見渡した。

そして懐かしい会話を思い出す。

――いつか、私の知り合いが木ノ葉に来るかもしれない。その時は、よろしくね。

――いつ来るんだよ?

――いつか。もっとずっと先。

――どうして、そんなことがわかるんだよ。

――私が、行けって言うからよ。

そういやしたことあったな、こんな会話。

ずっと昔、まだ幼い頃、ほんの短い間だけ、あのベンチにやってきた不思議な女。

あいつが言っていたのは、もしかしたらマガナミのことなのだろうか。

まさかな。





その夜、シカマルは久しぶりに昔の夢を見た。

あの女の夢だ。

女は伺うようにこちらを覗きこむ。

雲の隙間から漏れ出す屈折した光がシカマルを照らす。

女の顔はよく見えない。

――ねえ、シカマル。お願いがあるの。

――あん?

オレはもうあいつがベンチにいてもそれほど気にならなくなっていた。

――名前を付けてほしいの。

そうだ、そういやあいつ、なんかの名前をつけろって言ってたな。

――名前?何の?

当然オレは聞いた。

けど、意味不明なこと言われただけで、結局何のことかはわかんなかったんだよな。

――その時がくればきっとわかる。

――何だそりゃ。

でも、意味がわからないなりに真剣のようだった。

――ね、お願い。君じゃないとダメなの。

だから、覚えておくだけ覚えておこうと思っていた気がするのだが…結局すっかり忘れてたな。

――よくわかんねーけど、名前をつけりゃいーんだな。その時が来たら。

その時、か。

いつなんだろうな。

もう、過ぎてんのかもな。

――これ、あげる。

――オレ興味ねえよ。

――いいから。

ん?

オレ、あいつから何かもらったっけな…?





20160520


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