26.その後の二人
(7/8)
そんなあいつが、ついに自分の過去を明かした。
そんな私が、ようやく自分の過去を話した。
――多分、今まであったことすべて。
――時を超えたこと以外、すべて。
珍しくあいつから、時間を取ってほしいと頼まれた。
必要以上に人の顔色を気にするあいつがこうして頼むのは、自分たちを信頼している証だ。
知らず、口元が緩んだ。
わざわざ時間をつくって、みんなに集まってもらった。
忙しいのに、みんな快く承諾してくれた。
嬉しかった。
あいつは、時々口ごもりながら懸命に喋った。
私は、みんなに必死に伝えた。
あいつの生きてきた環境の過酷さを知った。
今まで言えなかった忌み子の自分を打ち明けた。
チョウジは自分のことのようにしょぼくれていた。
いのは涙ぐんでいた。
カカシさんは静かに見守っていた。
サクラから労わるような視線を感じた。
アスマはあいつの頭に手を乗せて、数度叩いた。
アスマは私の頭を撫でて、がんばったなと言った。
あいつは嬉しそうだった。
私はあったかい気持ちになった。
オレはそれが少し悔しかった。
私は何も言ってくれないシカマルが何を考えているのか気になった。
――あいつはもう、木ノ葉の一員だ。
――私はやっと、木ノ葉の一員になれた。
やっと訪れた平穏の時。
これからずっと続いていく幸せな生活。
それを疑うものは誰もいなかった。
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