生きている意味

26.その後の二人


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「里のやつらの信頼を得る方法だってあるさ」という言葉は、当てのないものではなかったらしく、数日後、アスマはマガナミを呼び出してある提案をした。

「仕事をしてみないか?」

「仕事?」

「お前、言ってただろ?どうやったら里の人たちの信頼を得られるかって。簡単なことだ。態度で示せばいいのさ。実績を重ねて、信頼を勝ち取るんだ」

木ノ葉の里には、ペット探しや田畑の手伝いから他里の忍との戦闘を伴うものまで、様々な依頼が舞い込んでくる。

それらの依頼は任務の内容、難易度によってランク付けされ、ランクごとに報酬も変わる。

もちろん、難易度が高く危険な任務ほど金額は高くなる仕組みだ。

そんな依頼の中にも、主に依頼主が出せる金額や割ける人員の問題から、任務として受けられないものがある。

そんな、こぼれてしまった依頼を受け負わないかというのだ。

もちろん、戦闘が伴うような危険なものはない。

その代わり、買い物や物探しなど、使いっぱしりのような仕事がほとんどになるだろうが、それでもよいか、と。

ぜひやらせてほしい。

マガナミの心は躍った。

自分にそんなことをやらせてもらえるなんて、思ってもみなかった。

木ノ葉の人間として働けるなんて、夢みたいだ。

興奮を押え切れずに、そわそわと身体を揺らす。

けれど、今は奈良家の家事の手伝いをして生活している身だ。

まずは奈良家と相談してから返事をさせてほしい。

そう申し出ると、アスマは、そうしろと笑った。



奈良家の人々はみな賛成してくれた。

「いいじゃない、がんばりなさい」

「アスマのやつ、考えたな」

穏やかに笑うヨシノとシカクに、マガナミはおずおずと伺う。

「でも、このうちの家事が今まで通りにはいかなくなってしまって…」

「いいのよ、そんなこと。マガナミが木ノ葉のために働いてくれるなら私も嬉しいから。色々学びなさい」

マガナミは胸を熱くした。

「あ…ありがとう…」

するとヨシノは一瞬考え込む表情を浮かべて、よし、と手を打った。

「まずは敬語からね。依頼主には敬語くらい使えなくちゃ」

シカクとシカマルは静かに苦笑していた。


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