生きている意味

04.焼肉Qにて


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しかし、とアスマが不思議そうな顔をする。

「どうしてサクラなんだ。お前なら、いのに頼みそうなもんだがな」

シカマルは一瞬キョトンとした。

「あれ、センセ知らなかったんスか。いのは今、長期任務に出て留守っスよ」



いくら上忍と言えど、すべての忍の任務状況を把握しているわけではない。

しかしアスマは、シカマル、チョウジ、そしていのの元担当上忍だ。

面倒見のよい彼の性格から見ても、いのの長期任務について知らないのは意外だった。

現にシカマルの一件は既に情報を仕入れている。



当のアスマは、そういえば、などと口元でごにょごにょ言いながら頭を掻いていた。

どうやら、いのの任務を知る機会はあったが、別のことを考えていて意識にとまらなかった、ということらしい。

そして、アスマがこうしてしどろもどろになり、あたふたするのは、十中八九、紅先生のことを考えているときなのだ。



アスマはごまかすように話を振った。



「いのがいないのは残念だったな。あいつは、性格はきつそうに見えるが、なんだかんだで面倒見がいい。なんてったって、今までお前ら二人の面倒を見てきたくらいだからな」

オレらがいののわがままに振り回されてきた、の間違いじゃねーのか、とシカマルは内心呟く。

「それを言うなら、ナルトとサスケの面倒見てきたサクラだって負けてねーだろ」

「確かにそいつぁそうだ」

アスマは軽快に笑った。

「まあ、ものは経験だ、がんばれよ」

もはや半分諦めた表情で、シカマルは肩を落とした。





「…来た」





今の今まで大人しかったチョウジが、神妙な声を発した。

チョウジの見つめている方向をつられる様にして見ると、両手いっぱいに皿を抱えた店員がこちらに向かってくるのが見えた。





「肉だ」





獲物を見つけた狩人のような、緊張感と興奮に満ちた声でチョウジが呟く。

運ばれてきた肉が素早く鉄板に並べられていくのを横目に見ながら、後でサクラを訪ねてみようとシカマルは決めた。






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