生きている意味

25.サワトと第十班


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シカマルはサワトを真っ直ぐ見据えた。

「覚えてるか?お前が長期任務から戻った翌日の任務のこと」

急な話の飛躍に戸惑いながら、サワトは頷く。

「お前、敵始末すんのに自分犠牲にしようとして、無茶やってぶっ倒れて、生死の境さまよってよ。んで、そのことアスマに怒られたよな」

――仲間が悲しむ。

アスマはそういやそうだったな、と低く笑った。

サワトは困ったようにはにかむ。

「そん時お前、笑ったろ」

――ありがとうございます。

サワトは数度瞬きした後、居心地悪そうに頬を掻いた。

「んー、まあ、そうだったかな。けど、改まって触れられるとかなり気恥かしいんだけど」

「あの時のお前は素のお前だ。オレはそう思った。だから、いいんだ」

ニッと笑うシカマルの横に、チョウジといのも乗り出した。

「ボクも、サワトはいいやつだと思うよ!」

「今さら情も捨てられないしね」

「みんな…」

サワトは三人と、後ろでそれを見守るアスマに視線を巡らせる。

サクイがサワトの肩を叩いた。

そしてシカマルたちに視線を移す。

「ありがとう。だが、ひとつ貫いてほしいことがあるんだ」

その視線をシカマルは受け止める。

「なんスか」

「もしも互いの立場が衝突した時、迷わずに自分の立場を優先すること。相手のことを考えたり、思いやってはいけない。それが思いやりだということを心得てほしい」

意を得たり、とシカマルは不敵に笑った。

「そんなの、そうするなと言う方が無理な話っス」

サクイは大きく笑い返して頷いた。

そしてサワトに向き直る。

「いい友を見つけたな、サワト」

その言葉に、遠慮がちだったサワトの表情が笑み崩れた。

「うん」


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