24.サワトとマガナミ
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「ここは…私のいた時代じゃ、ないの?」
サワトは喉を鳴らした。
「井染の一族は、今で言う結界術や時空間忍術を得意としていた。いや、正確には忍術じゃなくて、彼らが使っていたのはむしろ仙術に近かったらしいけど」
「仙術?」
「忍術は、自らの体内に流れるチャクラを利用し、術を発動するものだ。一方仙術は、自然エネルギーを体内に取り込んで術を発動するんだ。昔はごく当たり前のようにやっていたらしいけど、そうなの?」
マガナミは頷いた。
「森や大地に力を借りるの。でも、本当に必要な時だけ」
サワトは頷き返す。
「長郷一族にも稀に、殊に時空間忍術に長けた人間が生まれるんだ。
彼らは井染の血を色濃く継いでいると言われている。
その中でも更に稀に、超人的な力を持つ人間が生まれることがある。
その人間は、時を100年も200年も超えると言われているんだ。
その人が超人的なのは、その人自身の内に秘められた力というよりは、自然エネルギーを扱う力にある。
今までにも何度か、時代を超えたんじゃないかと言われている人間がいるんだよ。
実は、ボクたちが木ノ葉に入り込んだ一番の理由は、木ノ葉の内部に強い時空の歪みを捉えたからなんだ。
ボクたちは過去に時空を超えたと思われる、ある男を追っている。
その男が木ノ葉に入り込んだんじゃないかと思ったんだ。
そしてボクは木ノ葉に入り込み、ボクたちの追っていた男ではなく、きみに会った」
「私に」
「そう」
サワトはここで一呼吸置く。
「シカマルはボクがきみをこの里に連れてきたんじゃないかって疑ったみたいだ。でもそれは違う。きみは里の外から侵入したんじゃない。直接内側への通路をつくったんだ。時空間忍術でね」
そしてこの話の核心に触れた。
「きみはたぶん、何らかのきっかけで時空を超えたんだ」
マガナミは自分自身でこの結論に至っていた。
しかし、実際に他人の口から発せられるのを聞くと何て非現実的なんだろう。
口をポカンと開けたまま、呆然とサワトを見つめる。
サワトはクスリと笑った。
マガナミは首を傾げる。
「きみはボクのご先祖様なんだね」
虚を突かれてマガナミは目を瞬かせた。
「ご先祖…?」
言われてみると、この途方もない話が本当だとすれば、そういうことになる。
「ボクときみ、とても特徴が似てると思わない?」
マガナミはサワトの瞳の色、髪の色を見る。
そして鏡に映った自分のそれを思い浮かべた。
琥珀色の瞳に赤茶色の髪。
彼の方が少し瞳の色が薄くて髪の色が赤いけれど、確かに似ている。
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