生きている意味

23.サワトとシカマル


(5/6)


シカマルは顔を歪めた。

「認めるのか」

サワトは苦笑いする。

「そんな辛そうな顔しないでよ」

「偽もんの記憶でも、今のオレにはお前との思い出が嫌ってほどあんだぜ」

「…そうだね」

シカマルは乱暴に頭を掻く。

「何しようとしてるんだよ。事と次第によっちゃ、オレはお前を今すぐこの場で拘束しなきゃなんねえ」

サワトもつられるようにして頬を掻く。

「それは困る」

「サワト!」

「ボクも任務なんだ。一応一族背負ってるからね」

シカマルは視線を伏せる。

そして再び彼の名を呼んだ。

「サワト」

「なに」

「マガナミとお前、特徴がよく似てるな。赤髪に琥珀色の瞳。どちらも長郷一族の特徴だ。お前たちの一族と…今回の件と、マガナミには関係があるのか」

サワトは目を細めた。

「大事なんだね。あの子が」

シカマルはため息を落とす。

「オレはあいつを木ノ葉の仲間として迎えてやりてーんだ。潔白を証明してやりたい」

自分の台詞に照れくさくなり、それをごまかすために一呼吸置く。

「マガナミがお前を見て逃げ出したのは、お前の術のせいだな」

サワトは頷く。

「お前と今日会うまで、あいつ自身は長郷一族もお前のことも知らなかった。接点として残る可能性は、お前たちに利用されてることくらいだ」

サワトはゆるゆると首を振った。

そして微笑む。

「安心して。ボクたちの一族と彼女に接点はない。ボクは彼女を知らないよ。彼女の存在はむしろマイナスだったんだ。ボクの侵入を気づかれる原因にもなっちゃったしね」

シカマルはまっすぐにサワトを見据えた。

「本当か」

サワトは小さく頷く。

「…そうか」

ふう、とサワトは大きくため息をついた。

話は終わり、そういう合図に聞こえた。

「君が彼女を気にかけてるならなおさらだ。今はひとまず」

素早く印を結ぶ。

「おい!まだ目的を聞いてねえ!」

シカマルはサワトに向かって走り出す。

「彼女が先だ」

声だけを残して、サワトは姿を消した。

「サワト!!…クソッ」

シカマルの手は空を切った。


(5/6)

- 166/232 -

[bookmark]



back

[ back to top ]

- ナノ -