23.サワトとシカマル
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シカマルは顔を歪めた。
「認めるのか」
サワトは苦笑いする。
「そんな辛そうな顔しないでよ」
「偽もんの記憶でも、今のオレにはお前との思い出が嫌ってほどあんだぜ」
「…そうだね」
シカマルは乱暴に頭を掻く。
「何しようとしてるんだよ。事と次第によっちゃ、オレはお前を今すぐこの場で拘束しなきゃなんねえ」
サワトもつられるようにして頬を掻く。
「それは困る」
「サワト!」
「ボクも任務なんだ。一応一族背負ってるからね」
シカマルは視線を伏せる。
そして再び彼の名を呼んだ。
「サワト」
「なに」
「マガナミとお前、特徴がよく似てるな。赤髪に琥珀色の瞳。どちらも長郷一族の特徴だ。お前たちの一族と…今回の件と、マガナミには関係があるのか」
サワトは目を細めた。
「大事なんだね。あの子が」
シカマルはため息を落とす。
「オレはあいつを木ノ葉の仲間として迎えてやりてーんだ。潔白を証明してやりたい」
自分の台詞に照れくさくなり、それをごまかすために一呼吸置く。
「マガナミがお前を見て逃げ出したのは、お前の術のせいだな」
サワトは頷く。
「お前と今日会うまで、あいつ自身は長郷一族もお前のことも知らなかった。接点として残る可能性は、お前たちに利用されてることくらいだ」
サワトはゆるゆると首を振った。
そして微笑む。
「安心して。ボクたちの一族と彼女に接点はない。ボクは彼女を知らないよ。彼女の存在はむしろマイナスだったんだ。ボクの侵入を気づかれる原因にもなっちゃったしね」
シカマルはまっすぐにサワトを見据えた。
「本当か」
サワトは小さく頷く。
「…そうか」
ふう、とサワトは大きくため息をついた。
話は終わり、そういう合図に聞こえた。
「君が彼女を気にかけてるならなおさらだ。今はひとまず」
素早く印を結ぶ。
「おい!まだ目的を聞いてねえ!」
シカマルはサワトに向かって走り出す。
「彼女が先だ」
声だけを残して、サワトは姿を消した。
「サワト!!…クソッ」
シカマルの手は空を切った。
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