生きている意味

23.サワトとシカマル


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ちょうどその頃、機密文書保管室は大騒動になっていた。

「しまった。やられた。第一級機密文書だ」

機密文書保管室に厳重に保管してあったはずの第一級機密文書が、一部消え失せていたのである。

「綱手様…」

シズネの視線に綱手は険しい顔で頷く。

「おそらく長郷一族の仕業だろう。やはり里内に入り込んでいたんだ」

シズネはやはり、と声を漏らす。

そして顔を引き締め、姿勢を正した。

「いかがいたしますか」

綱手は考え込むように顎を手に当てる。

「長郷一族が相手とはいえ、里の重要機密文書をおめおめと渡すわけにはいかない」

覚悟を決めた綱手は、ドスの利いた声で言い放った。

「緊急配備だ。侵入者を捕獲し、機密文書を取り戻せ!決して里から逃がすな!」

「はい!」

短い返事と共に、シズネは姿を消した。



「サワト…」

シカマルとサワトは危うい緊張感の中で相対していた。

「お前何者だ?」

問い詰めるシカマルの声は固い。

しかし、そんなシカマルにサワトはヘラッと笑って見せた。

「何者って、シカマルが一番知ってるでしょ。ボクたちは同じ第十班で…」

「違和感があったんだ」

シカマルはサワトの発言を遮る。

「お前が長期任務から帰ってきた日に会った時、オレはお前を知らないやつだと思った」

「ひどいなぁ」

「いのもだ。チョウジやアスマにも確認を取った」

サワトの顔から笑みが消え、無表情になる。

「お前に会ってしばらく話すうち、肌に何かが染み込んでいくような感覚があった。その後だ。お前がオレたちの仲間だと『思い出した』のは」

サワトは黙ってシカマルを見つめている。

「オレたちの記憶に細工したんじゃないのか。

お前たちの一族『長郷一族』は幻術が得意らしいな」

サワトはため息をついた。

「さすがシカマルだな」


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