生きている意味

04.焼肉Qにて


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店内に人はまばらだった。

もうすぐ昼という時間帯だ、これから人が増えるのであろう。





店員の案内で、四人がけテーブルの、片側の長椅子にアスマ、もう片側にシカマルとチョウジが座った。

席に通されると同時に、廊下側のチョウジが、日ごろの言動からは想像もつかないほどのスピードと滑舌のよさで、次々にメニューを注文していく。

こういう時の彼はいやに迫力がある。

いつものことながら、シカマルは、ほぼ感心に近い感情を覚えた。

なじみの店員は、慣れた様子で、はいはいと注文を受けて去っていった。





「それでどうなんだ。その少女の様子は」

アスマが煙草に火をつける。

「目は覚ましたが、怯えきってて会話になんねー。身体の負担になりそうだったんで、とりあえず今日は帰ってきたんだ」

「そうか。にしても、一体何に怯えてたんだ?お前がよっぽど無愛想な顔してたんじゃないのか」

「知らねーよ」

シカマルは肩を竦める。

アスマはくわえた煙草を吸い込み、ゆっくりと煙を吐き出した。

「その子も運がいいんだか悪いんだかな。そもそも綱手様じゃなかったら里に置いておけるかどうかも怪しいもんなんだが…しかし、よりによって見つけたのがお前とは」

「こっちだって見つけたくて見つけたわけじゃねーよ」

「だろうな」

煙草の灰を灰皿に落としながらクツクツと笑う。

「で、その子の面倒はサクラに任せるのか」

アスマの問いに、シカマルは一瞬、思案の表情を浮かべる。

「ん、ああ…どーすっかな。女の面倒は女が見てやるのが一番だとは思うんだが――正体のつかめない奴をサクラに任せて、万一サクラに何かあったら寝覚めがわりぃからな…」

何か引っかかっている風のシカマルの言葉に、アスマは軽く眉をひそめる。

「何がそんなに気になってるんだ。突然降ってきたって、あれか」

ピクリとシカマルは反応した。

普段はどこかやる気のない表情が、真剣みを帯びる。両肘をテーブルにつき、顔の前で手を組んだ。



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