22.はじめての夏祭り
(6/9)
彼らの仲間になりたい。
対等に、同じ立場で、彼らを堂々と「仲間」と呼びたい。
森での一件以来、マガナミはそう強く望むようになっていた。
彼らに追い付きたい。
横に並んで共に歩きたい。
けれど、そのためには、今の自分の立場はあまりに曖昧すぎるということも、痛いほどにわかっていた。
シカマルは、聞かないと言ってくれた。
それでも仲間だとも。
だが、それが彼の立場を悪くしているという現状は変わらない。
自分は、いつまでも甘えていていいのだろうか。
対等な仲間として頼るためには、頼ってもらうためには、きちんとけじめをつけなければならないのではないのだろうか。
でも、と臆病な自分がストップをかける。
井染村のことを話せば、村の場所を特定し、連絡を取ることは避けられない。
身元をはっきりさせるとはそういうことだ。
恐いのだ。
村のことが明るみになって判明する事実は、マガナミに取って知りたくなかった事実に他ならないだろうからだ。
これを機に追放の命が出るかもしれない。
村の汚点を晒すものかと連れ戻されるかもしれない。
村は既に滅んでいるかもしれない。
どの報告も、マガナミの胸を抉るような事実に変わりはなかった。
村があのまま滅んでしまっているなんて考えたくない。
けれど、連れ戻されて、また虐げられて暮らすのは、もう耐えられそうにない。
追放の命が出ればこのまま木ノ葉の里で暮らすことができるかもしれないが、本当に村で必要のなかった人間なのだと思い知ることは、やはり辛かった。
「身分の証明だけが人の信用を勝ち得る唯一の手段ではない」とシカマルは言っていた。
もしも他の方法があるのだとしたら、その方法にすがりたい。
でも、そんな方法、本当にあるのだろうか。
あるとすれば、いったいどうすればいいのだろう?
シカマルの笑顔が映る。
自分を元気づけようとしてくれている。
その心遣いが嬉しかった。
考えよう。
どうすることが一番よいのか。
きちんと答えが出せるといいな。
マガナミは「ありがとう」と言って笑った。
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