生きている意味

04.焼肉Qにて


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大通りに出た。

にわかに人の往来が激しくなる。





通りに沿って様々な店舗が並び、にぎやかな話し声が響く。

店の前で立ち話をする人や、親の近くを落ち着きなくうろちょろしている子どもを交わしながら、ベンチのあるわき道を目指す。

すると反対側から、ポケットに手を突っ込み、しまりのない顔をして歩いてくる上忍を一人、発見した。



「あ、アスマ先生」



チョウジが大きく手を振る。

向こうもこちらに気づき、小さく片手を挙げた。

「おう、お前ら、何やってんだ」

太く柔らかい、親しみのこもった声をこちらに投げる。

「お見舞いに行ってたんだ。シカマルが女の子を助けたんだって」

「おー、聞いてるぞ。突然空から降ってきた少女。お前が面倒見るんだって?」

アスマは、おもしろそうにシカマルを見る。

「それがね、シカマル、その子の面倒をサクラに任せるつもりみたいだよ」

含みのある口調でチョウジが応じる。

アスマは苦笑した。

「まあ、お前向きの仕事じゃないからなあ」

シカマルは憮然とした表情で抗議する。

「人聞きが悪いぜ。処遇を任されたから、最善の策を取ろうってだけの話ッスよ。まあサクラに任せるかどうかはまだ決めてないっスけど」





人々が三人を避けるように道を通り過ぎていく。

アスマが、場所を移そうとわき道の方へ親指を向けた。

その動作に、チョウジが、ちょっと待ったと首を横に振る。





そして、毅然とした態度で、彼らの行きつけの店、焼肉Qを指差した。





アスマが一瞬たじろぐ。





数秒の逡巡の後、諦めたように頷いた。

いや、もしかしたら頷いたのではなく、ため息をついたのかもしれない。

どちらにせよ、頭を垂れたアスマを見たチョウジは、満足げに焼肉Qに向かって歩き始めていた。

この上なく情けない顔で、財布の中身を覗き込むアスマに同情を覚えつつ、シカマルはチョウジを追って歩き出した。





「センセ、ごちそーさん」





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