21.まるで蕾が開くような
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マガナミは視線を伏せた。
しかし、自分を励ますように再びその視線をシカマルに向ける。
「私、変わりたい!みんなに仲間って呼んでもらえるように…みんなのこと仲間って呼べるように!変わりたいの!」
シカマルは目を見開いてあんぐり口を開けた。
かなり驚いているようだ。
無理もない。
実際チョウジも驚いている。
マガナミがこんなに強く自己主張するなんて考えもしなかったのだ。
けれど、彼女が何を考えているのか、初めて推論を挟むことなく知ることができた。
そう、今なら確信を持って言える。
彼女は、変わろうとしているんだ。
「だから…だから…」
マガナミの身体は震えている。
「いや、オレはそういう意味で言ったんじゃねえって。ただ…」
シカマルは肝心なところで口を濁す。
二人とも、上手く言葉にできないでいるようだ。
やれやれ、とチョウジは頬を緩めた。
どうやら自分の出番みたいだ。
「二人とも」
マガナミとシカマルはビクリとこちらを振り返る。
二人の視線は等しく救いを求めていた。
チョウジはにっこり笑う。
「お互いのこと、すごく大事なんだね。ボク、嬉しいよ」
二人はキョトンとした表情を浮かべて、恐る恐る互いの顔を盗み見た。
「マガナミは知らないだろうけど、君を探してる時のシカマルったら、真剣そのものだったんだよ。あそこまで真剣なシカマルはボクたちだってそうそう見られるものじゃないんだから」
「おい」
「『仕方がない』って言ったのだって、突き放したわけじゃない。シカマルなりに反省しただけだよ。強く言いすぎたってね」
マガナミは二度ほど瞬きをしてから、チラリとシカマルを見遣る。
「シカマルも、マガナミの気持ちは十分わかったでしょう?」
シカマルは頬を掻きながらマガナミに視線を移した。
「そりゃ、まあ…」
チョウジは満足げに大きく頷く。
「じゃ、仲直り」
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