21.まるで蕾が開くような
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突然声を強くしたマガナミに、シカマルはわけがわからないといった様子で眉を寄せる。
「はあ!?何が気に食わねーんだよ。お前の気持ち汲んでやってんだろーが!」
あ、あれ?
チョウジは笑みを浮かべた口を引きつらせた。
なんか変な方向に向かっているような…?
「ぜ、全然汲んでないよ。今のシカマルより、あの時のシカマルの方がよかった!」
「なにぃ?」
「あ、あの時のシカマルは、私のこと、そんな風に突き放さなかった!」
突き放す?
マガナミの言葉にチョウジは首を傾げる。
どういう意味だろう?
後から聞いたその時の二人のやり取りを思い出す。
――見捨てられた、と思ったんだって。
何故その場から離れたのだとマガナミを問い詰めたシカマルに、カカシがそう告げたという。
その事実はシカマルを苛立たせた。
下手をしたら自分が死んでいたかもしれないからだ、とシカマルは言っていた。
が、真実は違うとチョウジは思う。
マガナミは自分たちに裏切られたと思っていたようだが、その話を聞いた時、シカマルはマガナミに裏切られたように感じたのだ、きっと。
――お前は!!どうしてそうなんだよ!
自分たちは少しずつマガナミに歩み寄り、マガナミも少しずつ自分たちの方に歩み寄ってきている、そう思っていた。
それを一番強く感じていたのは言うまでもなくシカマルだ。
しかし、そうではなかった。
と、あの一瞬、シカマルはそう思ったはずだ。
まだこんなに距離があったのかと。
――いつまでそうなんだよ!!
いつまでそこで立ち止まっているつもりだ。
もう歩き出してもいいだろう。
シカマルはそう訴えたかった。
そして、マガナミもそれを感じ取っていた。
そうか。
だからマガナミは「突き放された」と言ったのだ。
シカマルは、マガナミに「いつまで後ろ向きな考えでいるつもりだ。いい加減に変わってみせろ」と怒った。
その言葉はマガナミの中で大きく響いたのだろう。
それを今、シカマルに「仕方ない」と言われたことで、マガナミは「お前には無理だ」と諦められたように、突き放されたように感じたのだ。
「『お前の勝手な行動が他の仲間に危険をもたらす』って、言ってくれた!」
マガナミはグッと息を飲む。
「私のこと『仲間』だって…!そう言って怒ってくれたのに…。仕方ないなんて…言わないで…。諦めないでよ…」
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