21.まるで蕾が開くような
(5/9)
チョウジは奈良家へと向かっていた。
シカマルとマガナミの様子を伺うためだ。
二人がなかなか上手く仲直りできないようだったので、チョウジはハラハラしていた。
アスマといのはおそらくもう大丈夫だろうと言っていたが、なんとなく心配だったのだ。
こういうのって、早く仲直りしないと長い間引きずっちゃうんだよね。
チョウジは今回の件に責任を感じていた。
こんなことになってしまったのは、元をただせば、自分が負傷してしまったことに原因がある。
そのせいでマガナミとの待ち合わせ場所に到着するのが遅れ、マガナミを不安がらせ、その場を立ち去らせてしまった。
更に、自分のためにソライル草を取りに行かせ、それがシカマルを怒鳴らせる結果となった。
自分のせいで、少しずつ歩み寄っていた二人が仲たがいしてしまうのは悲しかった。
少しすれ違ってしまっているだけで、本当は、二人とも互いのことを考えているのに。
そう思うともどかしい気持ちでいっぱいになった。
ちゃんと仲直りしてよね、二人とも。
チョウジが奈良家に着くと、ヨシノが出てきて中に招き入れてくれた。
「二人のために来てくれたのね?」
「はい。どうですか?二人の様子」
チョウジとヨシノは声を潜めて囁き合う。
「それがね、二人ともお互いのことチラチラ気にはしてるんだけど…」
「まだ仲直りできないんですか?」
「そうみたい」
チョウジは眉間に力を入れた。
そして、胸の前にギュッと拳を握る。
ヨシノに向き直った。
「安心してください。ボクが二人を仲直りさせてみせます。大丈夫。いい方法知ってるんだ」
意気込むチョウジにヨシノはクスリと笑う。
「ありがとう。お願いね」
チョウジは大きく頷いた。
シカマルは、自室の窓のすぐ下にある屋根に寝転がっていた。
だらしなく伸ばされた手足から気だるさが滲み出ている。
「シカマル」
呼び掛けると、シカマルは顔だけこちらに向けた。
「よお、チョウジ。どうした?」
「どうしたじゃないよ。シカマル、マガナミとは仲直りしたの?」
シカマルは僅かに顔を引きつらせた。
視線を逸らして頬を掻く。
非常にバツが悪そうである。
「いや、まあ、なんつーか、ものにはタイミングっつーもんがだな…」
チョウジは頬を膨らませる。
「シカマルぅ?」
シカマルはウッと喉を詰まらせた。
「……わかってる。わかってるよ」
チョウジは腰に手を当てる。
「今」
「い、いや…」
「いーま!」
チョウジは眉を吊り上げた。
シカマルはチョウジの勢いに気圧され、身体をのけ反らせる。
「ほら、行くよ!」
チョウジはシカマルの腕を掴むとグイグイと引っ張った。
「お、おいチョウジ!あぶっ危ねぇって!おわっ!」
シカマルは引きずられるようにして家の中に入った。
(5/9)
*←|→#
[bookmark]
←back
[ back to top ]