20.思い届けて
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チョウジ…ごめんなさい。
マガナミは目を瞑る。
今ならわかる。
チョウジが自分を必死になって探してくれたその様子が、目の前に見るように思い浮かぶのに。
勇気がなかったのだ。
彼らを信じる勇気が。
自分の弱さが、身勝手さが、このような事態を招いてしまった。
シカマル…怒られたのは当然のことだと思う。
冷静な彼が、その時何を優先すべきかきちんと選び取ることのできる彼が、自分を探してくれた。
チョウジが怪我を負っていて、その怪我が決して軽視できるものでないと知りながら、それでも自分を探すことを優先してくれたのだ。
自分が彼らの帰りを待っていると信じていたから。
待っているはずの場所にいないということは、何かあったに違いないと思ったから。
――お前は!!どうしてそうなんだよ!
――いつまでそうなんだよ!!
シカマルの怒声が頭に響く。
マガナミはソライル草を握る手に力を込めた。
「大丈夫だよ」
マガナミはハッと目を開く。
カカシは相変わらず前を見据えていたが、意識がこちらに向いているのがわかった。
「チョウジは大丈夫。サクラといのが看てるからね」
マガナミは祈るように頷いた。
「それに、ソライル草もある」
その言葉に、ソライル草を握り直す。
カカシは少し間を置いてから更に続けた。
「シカマルも、許してくれるよ」
シカマルの名に身を固くする。
それを感じ取ってか、カカシは柔らかい口調で、励ますように言った。
「でも、ちゃんと謝らなきゃね」
マガナミはカカシの背に顔をうずめて頷いた。
そうだ。
ちゃんと謝ろう。
彼らはきっと許してくれる。
ソライル草を手渡して、チョウジの傷を治してもらって、そうしたら、みんなにごめんなさいと言うのだ。
――もう大丈夫だよ。
――マガナミがソライル草取って来てくれたから助かったわ!
――夏祭り、間に合いそうだな。
皆の笑顔が見える。
そうだ…みんなで夏祭りに行くんだ。
いっぱい並んだ出店を見て、おいしいものたくさん食べて、出し物見たり、踊ったり…花火も見るんだ。
みんなで。
みんなで。
「みんなで…夏祭りに行くって、約束したの」
「…そう。きっと楽しいと思うよ」
「うん」
前方に、小さく木ノ葉の門が見えてきた。
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