生きている意味

19.信じるということ


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「で、どうなのよ?もう平気なの?」

いのが改めてシカマルに投げ掛ける。

シカマルは安心させるように笑みを浮かべた。

「だいぶ良さそうだ。もう少しで退院できるってよ」

病院でのサワトの様子とその時の会話を簡単に話す。

それを聞いて、いのとチョウジはホッと顔をほころばせた。

「ったく、散々冷や冷やさせといてこれだもんねぇ」

いのはため息をつく。

「よかったー。心配したよー」

チョウジは顔いっぱいに笑みを浮かべた。

「これなら夏祭りも間に合うかもしれないね」

シカマルは無邪気なチョウジの言葉に小さく吹き出す。

「そうだな」

再びマガナミが首を傾げた。

「夏祭り?」

その瞳には好奇心の光が覗いている。

シカマルはそれにも声を立てずに笑った。

「ああ。出店がいっぱい並んで、うまい食いもんがたくさん出る。人がたくさん集まって出し物やったり踊ったりすんだ。花火も上がるぜ」

シカマルの話を聞いて、マガナミはほぅとため息を漏らした。

視線は上空を彷徨っている。

多分、今マガナミの意識の半分は夏祭りの会場に行っているのだろう。

「行きたいか?」

シカマルが問うと、マガナミは目を輝かせた。

「うん!」

シカマルは、今度は声に出して笑う。

「じゃみんなで行くとすっか。サワトもお前に会いたがってたしな」

マガナミは何度も何度も頷いた。

その時、ふいに耳が、皮膚が、微かな違和感を拾った。

即座に意識を集中し、五感を研ぎ澄ます。

動きが不自然にならないようにいのとチョウジを見ると、二人も僅かに表情を引き締めて、視線だけで頷いた。

三人は、マガナミを森の木陰に誘導し、しばらくの間そこで待つよう告げた。

「ちょっと用を済ませたいから、少しだけ待っててくれる?」

「大丈夫、すぐ戻るよ」

「わりーな、一人で平気か?」

マガナミは少し不安そうに、それでもはっきりと首を縦に振った。

「必ず戻る。動くんじゃねーぞ」

三人は互いに頷き合うと、同時に地を蹴った。


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