19.信じるということ
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里の近くの繁華街に遊びに行こうと言い出したのは、いのだった。
「マガナミも里の中ばっかりじゃ飽きるでしょ?たまには外に出ましょ」
チョウジもうんうんと首を振った。
「そうしようよ。珍しいものもたくさんあるよ」
突然の提案に、マガナミは目に見えて動揺していた。
シカマルにはその動揺の原因がわかった。
自分を知る人間に出くわすかもしれない、そう思って怯えているのだ。
だから不安を取り除くためにマガナミに伝える。
「お前の知り合いは里の周辺にはいなかったよ」
マガナミは弾けるようにシカマルを振り向いた。
シカマルははっきりと頷いて見せる。
「オレたちは忍だ。情報収集に関しちゃプロだからな。信用してくれていいぜ」
マガナミは強張った表情を解いて大きく頷いた。
目的地は二つ先の港町ということになった。
珍しい品物がたくさん置いてあるからマガナミも楽しめるだろう。
というのはもちろんいのの意見だ。四人はのんびりと森の中の一本道を歩く。
「そういえばシカマル、サワトに会いに行ったんでしょう?どうだった?」
取りとめのない会話が途切れると、チョウジが尋ねた。
そうなの?といのもシカマルの方を向く。
シカマルは軽く頷いた。
「サワト?」
マガナミが不思議そうに首を傾げる。
「ボクらの仲間だよ」
チョウジが応じる。
「そ。私たち三人とサワトは、少し前まで同じ班で組んで仕事してたの。あ、ちなみに、その班の責任者で私たちの先生だったのが、この前会ったアスマ先生。覚えてる?」
マガナミは大きく首を縦に振る。
何故かかなり嬉しそうだ。
「サワトってのは…何ていうか、掴みどころのないやつなのよ。いっつもへらへらーって笑って、大事なことはのらーりくらーりはぐらかすようなやつ。そいつが今入院してんの。かなり無茶やらかしてねえ。一時はかなり危なかったんだから。で、こっちはいつ容体が安定するのかってヤキモキしてるってのに、あいつ自身はどこ吹く風なわけ。何とかなるよー、なんて言っちゃってさあ」
いのは両手を持ち上げて肩を竦めた。
マガナミは曖昧に頷く。
あの表情では、理解度30%というところだろう。
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