17.誰なんだ
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「ちょっとシカマル!あんたも何か言いなさいよ!」
サクラがこちらを睨みつけた。
シカマルはたじろいでのけ反る。
オレかよ。
ったく、オレがそういうキャラじゃねえのは知ってるだろうが。
視線で訴えるが、更に強い視線で跳ね返されてしまった。
マガナミも伏し目がちにこちらを見つめている。
なんだよ、お前も言えってか。
弱り果てて頭を掻いた。
言えと言われても、自分がそんなに気の利いた言葉を思いつけるはずもない。
シカマルはやっとこれだけ口にした。
「まあいいんじゃねえの?」
言ってから自分の語彙の乏しさにため息をつく。
すぐにいのとサクラのダメ出しの声が飛ぶだろうと覚悟した。
しかし、二人は呆れた顔をしているものの、どやしつける様子はない。
マガナミに目を遣ると、彼女はじっとこちらを見返してきた。
ああ、この顔は嬉しい時の顔だ。
なんだ、これでいいのか。
「ま、シカマルじゃこれが限界ね」
いのが肩を竦める。
「そうね」
サクラも頷いて苦笑した。
心の健康は見た目からつくるともいうが、今回のことは彼女にとっていい刺激になったのではないだろうか。
事実、彼女もごく控えめではあるが喜んでいるようだ。
やはり女とはそういう生き物なのかもしれない。
これからも、こういう機会を作ってやれればいいのだが。
そうして少しずつ気持ちが外に向けば、里の人々との交流も増え、彼女本来の性格が表に出てくるかもしれない。
彼女本来の性格。
彼女は本来、どんな性格なのだろうか。
いのやサクラ…到底結びつかない。
ヒナタ…まあ近いものがあるか。
しかし…今の段階では想像もつかないな。
いのからもらったシオンをじっと眺めているマガナミを横目に、漫然と考えるシカマルであった。
彼女が普通の人々と同じように穏やかに暮らせる日はそう遠くはないかもしれない。
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