17.誰なんだ
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「そうだ、髪切りましょ!」
「いいわねぇ!すっきりするわよ、きっと!」
何やらいのとサクラがはしゃいでいる。
そしてマガナミが大いに狼狽していた。
「なんだ?」
シカマルはチョウジに問う。
「うん…マガナミがあまりに身だしなみに無頓着だって話になってね。髪もボサボサだから切ろうって」
「あー…」
いかにもこの二人の考えそうなことだ。
「シカマル!さっ、準備して!」
「はぁ!?」
急に指名されてシカマルは素っ頓狂な声を上げる。
「準備って…ここで切るのか?」
「そうよ」
「誰が?」
いのとサクラは当然とばかりに答えた。
「あたしたちに決まってるでしょ」
おいおい。
美容院に連れてってやれよ…。
シカマルは憐憫の眼差しでマガナミを見たが、あの二人に逆らうだけの気力もなかったので、言われたとおり、大人しく準備することにした。
男がいると気が散るから、というわけのわからない理由で部屋から追い出されたシカマルとチョウジは、縁側に腰かけていた。
部屋の中からはいのとサクラの弾んだ声が聞こえてくる。
「後ろ髪は切るのもったいないから毛先だけ切り揃えましょ!」
「前髪は少し切ってもいいかもねー。邪魔そうだし」
その合間合間にマガナミのどもった声が漏れる。
「楽しそうだね」
「あーそうだな」
にこにこするチョウジにシカマルは気のない返事をした。
人の家で何をやっているのやら。
しかも、彼女たちが楽しそうにしていればしているほど、ろくなことにならないということをシカマルは経験上学んでいた。
「あっ!…あらら?」
「ちょ、ちょっといの!」
ほら…な。
「あれ?何かあったのかな?」
「だろうな」
「大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。ほっとけよ…」
一番の被害者はマガナミだろうが、命に別状があるわけでもなし、まあ問題ないだろう。
要は関わるのが面倒なシカマルであった。
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