生きている意味

15.一歩近くに


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素性調査の方法はいろいろあるが、全く手掛かりがない場合、最初に目をつけるべきはやはり身体的特徴だ。

シカマルは図書館で『一族辞典』を開いていた。

第三次忍界大戦後、国や人口の把握の一環として作成されたものである。

世界には、有名無名さまざまな一族が存在する。

奈良一族を含め、日向、うちは、秋道など、木ノ葉だけでもかなりの数が存在し、能力もレパートリーに富んでいるのは今更取り上げる必要もないことだ。

その中には外見に特徴のある一族も数多くいる。

まずは外見・身体的特徴が類似している一族を探し、彼女の身元に迫ろうというのだ。

とはいえこの辞典、全巻二十巻あり、一巻一巻がかなり分厚い。

本棚にずらりと並んでいた辞典の数を思い浮かべて、シカマルはげんなりした。

あいつの一族が「ワ行」だったらどうしてくれるんだ。





『イ』の一族には…見当たらないな。

ページをめくりながら、最近のマガナミの様子を思い浮かべる。

少しだけ、緊張が取れたように見える。

以前は声をかける度に肩をビクつかせていたが、近頃はそれもなくなってきた。

相変わらず口数は極端に少ないが、それでも母親にはポツリポツリと言葉を漏らすようになったらしい。

「あいつが何を考えているか分からない」と母親に言うと、「そんなことないわよ」と笑った。

「『目は口ほどにものを言う』っていうけど、あの子の場合、それが顕著ね」

シカマルは怪訝な顔をした。

ガラス玉のように空っぽで何も読み取れなかったあの瞳を思い出す。

「それはずいぶん前のことでしょう。今は違うわよ。注意して見てごらんなさいな」

そういえば、会えば当たり障りのない言葉くらいは掛けるが、自分から積極的に彼女と関わったことはなかったかもしれない。

女なんてどう扱っていいかわかんねぇしよぉ。

と言い訳してみるものの、自分が連れてきたのに母親に任せきりにしてしまっていた事実に少し反省したのであった。



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