生きている意味

03.目覚める少女


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「この前の雨はすごかったね。小さい頃、すっごい大雨が降って、里中で避難した時のこと思い出したよ」

「ああ、オレもだ。もっとも、あん時は大雨に雷まで鳴ってやがったがな」

「それで、一体何があったの?」





病院へ向かうまでに、シカマルは、チョウジに少女を病院に運ぶまでの経緯を語った。





「そんな大怪我してたなんて、何があったんだろう」

チョウジは、少女が突然道端に降ってきたことより、彼女の大怪我の方が気になるらしい。

心の優しい、彼らしい感想だ。

「そうだな。そいつが気を失う前に、何らかの切迫した事態が起こった可能性は高い」

「事故かな。それとも誰かに?」

「さあな」

なんにせよ、と、シカマルは前方に見えてきた木ノ葉病院を見据える。





「そいつが目を覚まさないことには、な」

























受付の看護師に、少女の面会に来たこと、これからの処遇を一任されたことを伝えた。

看護師の話では、少女の容態は当面のところ安定したが、まだ目は覚まさないということだ。

「身体中の傷だけじゃなくて、相当衰弱してたみたいなのよ」

身体にほとんど肉付きはなく、胃の中も空っぽ、体内の水分も不足していたという。

「少なくともここ数週間、ろくなもの食べてなかったんじゃないかしら」

そんな状態であのような傷を負い、一命を取り留めたのだから、少女は運がよかったといえるだろう。

「数週間ろくなものを食べてないなんて、一体どんな状況だったんだろう。ぼくには想像もできないよ」

高度な暗号に挑むかのような真剣なまなざしで、チョウジは少女の数週間の食について考えている。

確かに、チョウジには理解の範疇を超えるだろうな、とシカマルは苦笑した。





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