生きている意味

14.動き


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「…そうですね。確かに現時点では決定打となる材料はないようです。
ですが、やはり潜入目的の可能性が高いのでは?
シカマルくんの話を汲めば、相手は異変を強調しています。
我々にそれを発見させたがっている。
それについては私もそう思います。
情報操作にわざわざ矛盾点を作り出していますから。
綱手様はいかがですか」

綱手は首を縦に振る。

シズネはそれを確認して続けた。

「情報操作をしてまで注意を引いて得があるのは、やはり内部に潜り込みたい時なのではないでしょうか」

綱手はシカマルに視線を送る。

シカマルは一度シズネに目を合わせてから口を開いた。

「基本的にはシズネさんの意見に賛成っス。
ただ、自分の意見を覆すわけじゃないですが、注意を引く目的を木ノ葉への侵入に限定するのはちと危険かと。例えば、木ノ葉の介入を防ぎたい、木ノ葉の援軍を遅らせたいどこかの国や集団が、こちらに気取られないために余分な情報を流し、自分たちの動きをカモフラージュしている可能性もあります」

なるほど、とシズネが声を漏らす。

シズネとシカマルは、最終的な決断を窺うように綱手を見た。

綱手は机に手をついて立ち上がる。

「うむ、直接的に木ノ葉に害が及びそうなものだと、まずは侵入者だな。
警戒を強化せねばならん。
今までに集まってきた情報をもう一度洗い直し、侵入者に関連するものがないかどうか確認しろ。
通常であれば見逃してしまうような些細なところに隠れているかもしれないぞ。
後は、シカマルの言うとおり、木ノ葉の注意を逸らしておいて、その間に他国で何かやらかすつもりかもしれん。
周辺諸国の動向にも気を配っておけ。
それから、鉱山集落の調査は以後、集落の内情把握に切り替える。
それぞれの小隊に別の角度から集落を調査させろ。
小隊のやり取りは、直接人を通して行う。
伝令役をそれぞれの小隊に一人ずつ、計三名用意しろ。
相手に気取られぬよう、鷹でダミーの文書のやり取りも続けるんだ」

「三名、ですか…」

シズネは言外に人手不足を匂わせる。

綱手もそれは重々承知だ。

が、あえて短く切り返す。

「なんとかしろ」

シズネもそれ以上は食い下がらなかった。

「わかりました」

「シカマル!」

「はい」

「お前はマガナミの素性について調べろ。今回の件と関係があるかどうかはわからんが、かといって見過ごすわけにもいくまい」

「…そうっスね。了解です」

綱手はそこまで言い終えると、一息ついて二人を見渡した。

「では本日は解散とする。何かわかり次第、報告に来い」

二人が歯切れ良く返事をして、この場は解散となった。

五代目の付き人であるシズネはそのまま執務室に残り、シカマルは部屋を後にした。



マガナミの素性、か。



なんとなく気は進まないが、そうも言っていられない。

怪しいことこの上ないのは確かである。

果たして、何が出ることやら。

シカマルはため息をついて歩き出した。





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