14.動き
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「カラクリがわかったというのは本当か!?」
シズネに呼ばれた綱手が血相を変えて執務室に駆け込んできた。
「まだ確定ではないっス。調べてほしいことがあるんスけど」
「何だ」
「今まで受け取った鉱山集落関連の文書の筆跡を鑑定してください。それから、この前の定期連絡で戻った伝書鷹が一羽、怪我をしているはずです。その怪我が何によって負わされたものなのかを突き止めてほしいんス」
綱手はわずかに目を見開き、シカマルに視線を送った。
シカマルは視線を返すことによってそれに答える。
「わかった。すぐ調べさせよう。シズネ」
「はい」
意を汲んだシズネが素早く部屋を出ていった。
綱手は大股で執務机まで歩き、椅子に腰を下ろす。
小さく息を吐いて先を促した。
「つまり?」
「最初は幻術か結界術か何かだと思っていました。つまり、暗部や小隊は術中に陥っており、判断力が正常ではなかったと考えていた」
綱手は無言で頷く。
しかし、とシカマルは目を伏せた。
「ずっと違和感があったんス。考えれば考えるほど道に穴が増えていく、そんな嫌ぁな感じが」
確認を求めるように綱手に視線を戻す。
「そもそも方向性が間違っているんじゃないかと思った。で、伝書鷹が怪我をしていると暗号部が話していたのを思い出したんです。もしかしたら、正常じゃなかったのは暗部や小隊の人間じゃないかもしれない」
綱手はもう一度頷いた。
「正常じゃなかったのは文書、つまり文書自体が改ざんされていた可能性があるということだな」
「はい」
口にしたはものの、綱手は納得がいかない様子である。
「文書は暗号で書かれ術式も組み込まれている。通常そう易々と改ざんされるものではないのだが…」
「けど、そう考えるとキバたちの隊だけ影響を受けなかったのも説明がつきます。あの隊にはシノがいる。連絡には鷹を用いず、伝令用の蟲を使います」
「だから相手に気づかれることなく正しい情報を運んだということか」
「おそらく」
綱手は喉をうならせた。
「そんな単純な理由とはな…。しかし何故そんな中途半端な情報操作をしたんだ。相手は異変を悟られないようにしたいんだろう?なら、数字の変化にはお構いなしで『人口に動きなし』とするのはおかしくはないか?すぐに矛盾に気づかれてしまうだろう」
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