生きている意味

13.任務


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「ふぅー、ひやっとしたぜ。人質奪い返されちまったなぁ。けど、動けない人間庇いながらオレとやりあえるかな」

着地した陽童はそれでも余裕の表情を崩さず、挑戦的な言葉を投げる。

そんな陽童を見て、シカマルは口端を上げた。

「動けないのはあんたも同じだろ」

「何だと」

シカマルの言葉に足を動かそうとした陽童は、サッと顔色を変えた。

何か非常に粘度の高いものが足に絡みつき、動かすことが出来なくなっている。

「自分の動きを拘束するのは影真似の術だけだって?舐めてもらっちゃ困る」

陽童の後ろで、イズモが不敵に笑った。

「お前、いつの間に」

陽童は声のした方を振り返る。



シカマルが陽童を影で翻弄している間に、イズモは陽童が追いつめられるであろう場所に移動し、身を潜めていた。

そして、シカマルに誘導された陽童が飛び上がったタイミングで、水飴拿原を敷いたのである。

シカマルの作戦だ。



「畜生…やりやがったな。木さえ倒れてこなきゃ…!…あの爆発もお前らの仕業か?」

動揺する陽童に、二人は無言を持って答える。

「あの時お前らにそんな素振りはなかったはずだ!どうやった!」

シカマルは陽童に歩み寄った。

「あんたとサワトの元に駆け寄る前に、時限式起爆札付きのクナイをテグスに結んで、傍の木の枝に引っ掛けておいた。
テグスの片端を手に持ち、地を這わせながらあんたの所に辿り着いたオレは、そのテグスを勢いよく引いた。
するとぶら下がっていたクナイが木の枝を支点に飛び出し、木の根元に刺さる。
後は時間がくれば起爆札がドカン!ってわけだ」



そう。

サワトの元に駆け寄る直前に、シカマルはとっさの判断でこの仕掛けを施していた。

そして、陽童が武器を捨てるよう要求した時、クナイを投げ捨てるふりをしてテグスを引いたのだ。



「観念しろ、刈陽童」



足にチャクラの膜を張って水飴拿原の中に入り、イズモが陽童を捕獲する。

罵詈雑言を吐きながら暴れる陽童を薬で眠らせ、大人しくさせてから、長い溜息をついた。



ようやく、任務が終わった。





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