13.任務
(9/12)
「ふぅー、ひやっとしたぜ。人質奪い返されちまったなぁ。けど、動けない人間庇いながらオレとやりあえるかな」
着地した陽童はそれでも余裕の表情を崩さず、挑戦的な言葉を投げる。
そんな陽童を見て、シカマルは口端を上げた。
「動けないのはあんたも同じだろ」
「何だと」
シカマルの言葉に足を動かそうとした陽童は、サッと顔色を変えた。
何か非常に粘度の高いものが足に絡みつき、動かすことが出来なくなっている。
「自分の動きを拘束するのは影真似の術だけだって?舐めてもらっちゃ困る」
陽童の後ろで、イズモが不敵に笑った。
「お前、いつの間に」
陽童は声のした方を振り返る。
シカマルが陽童を影で翻弄している間に、イズモは陽童が追いつめられるであろう場所に移動し、身を潜めていた。
そして、シカマルに誘導された陽童が飛び上がったタイミングで、水飴拿原を敷いたのである。
シカマルの作戦だ。
「畜生…やりやがったな。木さえ倒れてこなきゃ…!…あの爆発もお前らの仕業か?」
動揺する陽童に、二人は無言を持って答える。
「あの時お前らにそんな素振りはなかったはずだ!どうやった!」
シカマルは陽童に歩み寄った。
「あんたとサワトの元に駆け寄る前に、時限式起爆札付きのクナイをテグスに結んで、傍の木の枝に引っ掛けておいた。
テグスの片端を手に持ち、地を這わせながらあんたの所に辿り着いたオレは、そのテグスを勢いよく引いた。
するとぶら下がっていたクナイが木の枝を支点に飛び出し、木の根元に刺さる。
後は時間がくれば起爆札がドカン!ってわけだ」
そう。
サワトの元に駆け寄る直前に、シカマルはとっさの判断でこの仕掛けを施していた。
そして、陽童が武器を捨てるよう要求した時、クナイを投げ捨てるふりをしてテグスを引いたのだ。
「観念しろ、刈陽童」
足にチャクラの膜を張って水飴拿原の中に入り、イズモが陽童を捕獲する。
罵詈雑言を吐きながら暴れる陽童を薬で眠らせ、大人しくさせてから、長い溜息をついた。
ようやく、任務が終わった。
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