13.任務
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シカマルはサワトの言葉の意図に気づいた。
こいつ、自分ごと討てと言っていやがる。
――バカなことを。
顔の前に振り被るようにクナイを構え、シカマルは自分の口元を隠した。
「先輩、顔を向けずに、耳だけ傾けてください。んで、了解したらクナイを構え直す。頼みます」
しばらくの間の後、イズモはクナイを構えた。
「おっと、武器を捨ててもらおうか、お二人さん。それとも仲間の方を捨てるか?」
陽童が勝ち誇ったように命令する。
シカマルとイズモは、ジリ、と一歩後ずさる。
「おじさん、覚悟した方がいい」
サワトが抑揚のない口調で答えた。
「何?」
陽童はサワトに視線を移し、再びシカマルとイズモを見やる。
そしてにやりと笑った。
「どうやら二人はそうは考えていないようだ」
「え?」
「もう一度言う。武器を捨てろ!」
二人は緊迫した面持ちで顔を見合わせた。
数秒の逡巡の後、イズモがクナイを落とす。
「クソッ…!」
シカマルは腕を振り、クナイを地面に叩きつけた。
サワトは驚いて目を見開く。
「何を」
陽童はくつくつと笑った。
「よしよし、それでいい」
サワトは信じられないという表情を浮かべている。
勝利を確信したのか、陽童は上機嫌で言った。
「いいね、最高のシチュエーションだ!」
三人を順繰りに見回す。
そして、何かを思いついたのか、右頬を引きつらせた。
嫌な笑みが浮かび上がる。
「そうだ、あれをやろう。なあに、簡単な選択問題だ。しかも、よくある、な」
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