生きている意味

13.任務


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「さて、ちなみに今はちょっとした実験中なんだが…」

陽童は首を捻る。

「おっかしいなー。失敗か?」

人差し指でこめかみを叩いた。

舐めるような目つきで三人を、いや、サワトを眺める。

「……もうひと押し、してみっか!」

おもむろにクナイを構え、三人めがけて投げつけた。





その一投を皮切りに、戦闘が始まった。

クナイをかわした三人は、樹上へ手裏剣を放つ。

陽童が跳び下りるのに合わせて、シカマルは影を走らせた。

しかし、陽童は別の木に絡ませたテグスを支えに、身体を振ってそれを避ける。

軽やかに地面に降り立った。

「知ってるよ、それ。影縛りだか、影真似だかっていうやつだろ」

余裕の陽童にシカマルは小さく舌打ちする。

サワトが陽童に向かって駆け出した。

相手の右方向を狙って手裏剣を放ち、左にかわしたところへクナイを振り抜く。

陽童は上半身を後ろに反らした。

サワトのクナイが空を切る。

陽童は身体を起こす反動を利用し、サワトの懐に入り込んだ。

打撃を繰り出そうと拳を握る。

サワトは後ろへ飛び退き、距離を取った。

「サワト!あまり先走るな」

「けど先輩、これ早く仕留めないとマズイですよ、多分」

サワトの言葉を受け、イズモはシカマルに視線を送る。

シカマルは無言で頷いた。

「ま、確かにそれもそうだ」

イズモは鋭い目つきでクナイを構えた。

「シカマル!援護しろ!」

「了解」

突っ込むイズモにサワトも加わる。

金属音が響き始めた。

二人の攻撃に合わせてシカマルは影を這わす。

しかし、陽童はそれを器用に避けながら二人と渡り合った。

陽童の回転蹴りで二人は別方向へ弾き飛ばされる。

そのまま地面に叩きつけられた。

「ぐ…」

「つー…」

陽童がイズモを追って走り出した。

体制を整えられないイズモに陽童が迫る。

シカマルは、あわやというところで二人の間に割って入った。

陽童はあっさりと攻撃を止め、後ろへ下がる。

「大丈夫っスか」

「ああ。助かった」



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