柔らかな朝の日差しが差し込む男子寮の一室。
差し込む朝日に志摩は鳶色の瞳を細め、隣に寝ていた一人の黒髪の少年の身体を抱き寄せて白い首筋に顔を埋めた。
そしてふわりと鼻をくすぐる香りに…あぁ、燐の香りだ。と安心する。
昨日は燐の弟である雪男が任務に出て不在だと聞いて、学校が終わってから燐の部屋に赴いた。一緒に夕飯を食べて、風呂に入って…おとなしく寝るはずだったのだが。
久々に二人きりになったとあって、お互いを求めあってしまった。…そして朝を迎えたという訳だ。
抱き寄せた燐は、体力宇宙のくせに自分よりもやはり細いし小さい。
抱き締めると伝わる体温に、堪らなく愛しさが溢れ出て、頭を撫でようと手を伸ばす。
そうすれば猫っ毛のふわふわした髪が手に触れるはず…だったのだが、指に触れたのはそれとは違う感触だった。
例えるなら…。
そう、猫の耳の感触。
「…っ、な…!?」
志摩が首筋に埋めていた顔をあげると 現実にそれはあった。
黒く愛らしい猫耳がちょこんと燐の頭に生えている。
「(り…り…燐くんに…
猫耳が生えとるーーー!?)」
まさか…。とシーツを捲る。
予想は的中だった。悪魔の証であるしっぽの代わりに、立派な猫のしっぽが。
志摩は暫く眺めた後…ごくり、と唾を呑んで黒いしっぽに恐る恐る触れてみる。
ちょん。と指でつつけば左右に揺れ、指の腹でなぞるとくるんと丸くなった。
「(や……やば…)」
かわえぇ…。
二人共昨日シたまま寝てしまったため、当然何も身に纏っていない状態。
裸に猫耳&しっぽなんて、そんなの健全な男子高生にはかなりの目の毒だ。
しかもしっぽは動くときた。
もう今すぐにでも犯したい。
…そう、つまり志摩はこの、恋人に猫耳やらしっぽが生えたという異常事態にムラムラしてしまっていたのだ。
「(…あー!どないせぇっちゅうねん!)」
心の中でせめぎ合う理性と欲望に葛藤する志摩を余所に、燐は未だ夢の中の住人だ。
そんな燐はシーツを捲ったままで寒かったのか、隣の志摩にすり寄ってきた。
まさしく猫なその行動に、志摩は冷や汗流しまくり、動揺しまくりで。
「(りりり…燐んんっ!?あかんあかんあかん!無意識なのかも知れへんけど…それはあかんて…!)」
俺的に。
下半身が持つか心配だ、などと思いつつ、燐が起きるまで動けない志摩だった。