「そっか……」しかし返ってきたのは安堵を含んだ言葉で、志摩は逆に驚く。「な…燐。怒らへん…の…?俺は…燐を苦しめてたんやで…?」「…そりゃあ…なんか最初はすげー怖かったんだ…。けど、なんか敵意とか…しつこさとか、感じなくてさ…。知ってる雰囲気な気も、してたから」

「…っ…」なんでそんなに綺麗に笑うんだ。包帯の巻き終わった手を優しく両手で包んできた燐の表情は…とても穏やかで 志摩は泣きそうに顔を歪めた。「俺は……燐が好きやった…。やから…振り向いてほしくてストーカーの振りまでして燐の相談のって…。燐の優しさを…俺は利用したんや」


「…別に怒ってねーよ…?…確かに怖かった。けど…廉造は今日ストーカーから俺を助けてくれたじゃねえか。それに…廉造も…苦しかったんだろ…?」泣きそうな志摩の頬に手を添え、燐は真っ直ぐに見詰めた。「燐…」「廉造…ごめんな…」ずっと…気づいてあげれなくて。


「燐…俺こそ…ごめん」緩く抱き着いてきた燐を撫でてやる。艶やかな黒髪からは優しい甘い香りがして、酷く安心した。「……なぁ…廉造…俺からも、言いたいことがあるんだ…」


抱き着いたまま、燐は口にする。くぐもってはいたが、聞き取ることはできた。志摩は静かに頷いて、燐の言葉を待つ。「俺……も…ずっと、廉造のこと……っ…好きだった…」志摩は鼓膜を震わせたその台詞に目を丸くした。「…な…ほんま………に?」「嘘でこんなこと……言わねぇよ…」燐の悩ましげに震えた睫毛に、志摩はくらくらした。
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