廉造…助けて…。慣れない口づけによる酸欠で思考能力の低下する頭の片隅で廉造を呼ぶ。「…燐…今から俺のことしか考えられなくしてあげるよ…」そう高揚した声音で言い 男はすっかり抵抗のなくなった燐の下着も取っ払い、気味の悪い笑みを燐に向けたのだ。

「っ…れ…ぞ」「…止めろ」無意識に名前を呼んだ燐は、男の今までとは違う苛立ちの混じった声にハッとする。「…燐…やめてよ。次そいつの名前言ったら………あいつ殺しちゃうからね」喉の奥で愉快そうに笑う男に 燐は目を零れんばかりに見開いた。




その時、

「燐…!!」

ずっと聞きたかった声に、燐の墜ちかけていた思考が繋がった。


「お前っ…燐から離れろや!!!」部屋に入ってきた声に、燐は玄関先を見やる。そこには髪も服もびしょびしょに濡れた志摩の姿があった。音がしなかったのはドアがあけっぱなしだったらしい。鋭い光を灯した鷲色の瞳が燐を組敷く男に注がれる。「もう一度言うで。…燐から離れろ…」


「廉造…っ」「しつこいんだよお前さ…。燐のなんなわけ?」男は一旦燐から離れると、懐から何かを取り出した。…それは、包丁。燐の心臓が早鐘のように打つ。「廉造…っ!逃げろ!」「嫌やわ。いくら燐の頼みでもそれは聞けん」廉造は言いはなって、雨で濡れた唇をま一文字にした。

「お前みたいな奴に燐は渡さへん……!」「…うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!」志摩に振り上げられる包丁。燐は咄嗟に目を瞑る。…数秒して、ひた…ひた…と何かが床に垂れる音がして目を開く。…目の前の床には小さな血の水溜まりができていた









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