I think you


I think you






はー…と、人の出払った事務所で 成歩堂龍一は暇だなぁ。と呟くように息を吐き出した。



王泥喜は買い物に行ってしまったし みぬきは学校。
別に一人が嫌なわけじゃないけれど、いい加減沈黙との対話も飽きてきたところだ。


(…。



御剣に会いたいなぁ)


成歩堂は、ふと頭に浮かんだ 気難しい顔をした親友の姿を思い浮かべた。
彼とは弁護士を辞めた今でも頻繁に連絡を取り合っている。
彼はなんだかんだ言いながら、忙しいのに時間を縫ってはしょっちゅう事務所に来てくれ 世話を焼いてくれているのだ。
それに対して王泥喜も最初は驚いていたものの、今ではすっかり慣れてしまいなついていたりする。
本当に慣れとは恐ろしいものだ。





(今…は流石に仕事中かな)



傍らに転がっていた携帯に目をちらりとやる。


黙ったままのそれを拾い上げた瞬間 それはいきなり せわしなく音色を奏で始めた。



―…着信・御剣怜侍



成歩堂は目を丸くするが、直ぐに口元に笑みを浮かべて 通話ボタンを押した。




「…やあ御剣。


…実は僕、今君のこと考えてたんだ」




遅い返答を待ちながら
恐らく電話の向こう側で真っ赤になっているのだろう彼を思い浮かべて、また笑みが深まった。


 

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