はらり



はらり



散りては地に還る花弁。



それは 人の一生に似て 儚くも 美しい。












「豐受…伊勢の桜は、やはり美しいな」



「はい…」



豐受は下宮から見える薄紅の花弁を優雅に咲かせる木に目をやって穏やかに微笑んだ。
毎年こうして月詠と並んで桜を見てきたが、やはり何百経とうとも、桜の美しさは変わらない。


「月詠様…。桜というものは人にとても似ておりますね」





湯飲みに口をつけつつ 静かに溢した豐受。絹のような胡桃色の髪が風に弄ばれてさらりと揺れて 花弁が宙に舞った。
まるで絵のような光景に、月詠はすっと目を細める。


「まこと…そうだな」


命を息吹かせ、花開き あっという間に散ってしまう、儚き存在。
花が咲き、散るまでのなんと短きことか。
神として生まれ 何度も何度も何度も 繰り返し見てきた人の一生。月詠はそれを辛いとは思わない。しかし悲しいとは感じることはある。


人には終わりは訪れても、神にはそれはずっと訪れはしないのだ。


目に映る景色がどんなに色や形を変えようとも、自分たちは変わることがない。






「しかし人というものは…儚く短き存在だからこそ




その一瞬一瞬に美しさを見いだし、残そうと思うのだろうな」





人は弱い



しかし 強いものだ。

















そう溢した月詠に豊受は返事の代わりに そっと 白魚のような指で彼の手に触れたのだ。

















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はい!!!!!!!!二人は仲良く伊勢の桜見てたらいいと思います(^o^)
ここまで読んでくださりありがとうございました!!



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