※白諏訪の続き妄想
鹿島はミナヒコの隣に座って、何をするわけでもなくただ目の前の焚き火を眺めていた。
諏訪は国主と離れた所で話をしているのでミナヒコと二人きりな訳だが、話題もなにもないので沈黙がただ続く。
…と。
魚をモシャモシャ食べていたミナヒコはふいに口を開いた。
「…―あのさ、おっさん」
「おっさんじゃないお兄さんだ。因みに名前はタケミカズチだ」
「じゃあタケミカズチのおっさん」
「おい聞けよ」
気だるげに言う諏訪の息子ミナヒコにツッコミを入れる鹿島。
しかし彼はそれを右から左に受け流し、流し目で隣にいる鹿島を見た。
「……つーか、さぁ…
あんた親父のこと好きなの?」
「 え 」
僅かに動揺した鹿島にミナヒコは諏訪に似つかないようなニヒルな笑みを浮かべる。
確かにこうして見ると顔は諏訪に似てるが他は似ていない気がする。
とゆうか顔以外は全然似ていない。
似てるとか思った数時間前の自分を殴ってやりたい。
「だってしょっちゅう親父に会いに来てんじゃん。」
「そ…それは暇潰しに…」
と、いうか何故知ってる。
「しかも家にまで来てさぁ」
「…っ…」
全部知られている。
「まー、親父鈍感で結構天然だし、自覚ないと思うけど、多分あんたのこと好いてるし」
ミナヒコは少し離れた場所で国主と話している父を一瞥してため息をつく。
「な」
「…気に食わないんだけどさー俺は。…こんな最終兵器ストーカー野郎の何処がいいんだか…」
「おいコラ混ぜんな」
「本当のことでしょが」
彼は国主から貰った土産の菓子を口に放る。鹿島は まだ食う気かコイツ。という視線を投げるがミナヒコは気にする素振りもない。
「親父はさ、色事に天然すぎ鈍感すぎなんだよ。結婚申し込んだのも母さんからだし。…その癖最近は口を開けば鹿島鹿島鹿島ってあんたの名前ばっか。しかもあんたの愚痴を溢す割りに親父楽しそうだし」
そう語るミナヒコはいかにも不服げだ。
「……そう…なんか」
「ま、だとしても」
ミナヒコはまた一つ、菓子を口に放る。
「…あんたみたいな野郎に、親父は渡さないけど」
ピシャリと言い放ち 彼は鹿島に向き直る。笑みを浮かべているが隙のない双銀に、鹿島も口元に弧を描いて見返した。
「…は、こっちこそ渡さない」
「…上等。
もし親父を泣かすことがあったら、俺がきざんでやる」
二人の間に静かな火花がバチバチと散った。
「んー…なんか寒気が…」
「大丈夫かいタケミナカタ?父さんの羽織貸そうか?」
「いや、大丈夫大丈夫!ありがとう、親父」
「……っ……!!!!!!!!
タケミナカタ…お前はほんとにいいこだなぁっ…!」
ぎゅっ
「え、ちょ…親父苦しい…!」
「お前がグレるなんてあるわけないよね…!信じた私が馬鹿だったよ!!」
「だから苦しいって親父ぃ〜…」
- 8 -
←□→
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
もどる