「父さん!!」
屍兵との戦闘後。
ガイアが肩に受けた傷をリズに手当てしてもらい救護室から出てくると、突然横から大きな声がとんできてガイアは肩をびくりと揺らした。
声をした方を見れば 息を切らしたアズールが、キッと睨んで立っていて。
その表情は怒っているのに、今にも泣き出しそうだった。
「あ…アズール…?どうしたんだ一体…」
流石のガイアも狼狽えた声が出る。
「どっ、どうしたもこうしたもないよ!父さんったらまた無茶ばかりして…!
父さんが怪我したって聞いて…僕…心配したんだからね…」
アズールは眉根をきゅっと寄せる。
かと思えば、勢いよく抱き付いてきた。
後ろに倒れそうになりながらもアズールを受け止めれば、彼はますます腕に力を込めて抱きついてきて。
「…アズール、あの…すまん。
お前に心配させちまってたみたいだな…。これからは気をつける」
抱き付いたままのアズールの、自分と同じ杏子色の髪の頭を撫でてやると彼はパッと顔を上げた。
アズールの瞳が涙に濡れていたのをみて チクリと胸が痛む。
どうやら息子は 自分が思ってるよりずっとこの身を案じてくれているのかもしれない。ガイアを一度失っている彼にとって、親が傷付くのを見るのはとてつもなく辛いだろうから。
アズールには本当に悪いことをしてしまった。
「父さん…。
僕…父さんが好きだよ。大好きなんだ」
目を泣き腫らして、涙声で必死に声を絞り出すアズール。
せっかくのオリヴィエ譲りの美貌が台無しだぞ、とガイアは苦笑しながらも彼を抱き締め返して背中をぽんぽん叩いてやった。
「…あぁ。俺もアズールが好きだぞ。
だからもう泣くな。…お前が泣いてると、俺も辛い」
「…ぐすっ…父さん…」
「…でもな。
お前の気持ち、嬉しかった。ありがとうアズール」
アズールに向かって、にこりと微笑む。
すると今まで泣いていたアズールが泣き止み、代わりに顔がどんどん赤くなっていき…。
「!…ぁ…う…父さん…」
「??どうしたんだ、アズール…!?
お前顔が赤いぞ…。まさか熱でも…」
「ななっ…!なんでもないよ!
…じゃっ、じゃあ僕もう行くね!もう怪我しちゃダメだよ父さん!」
何故か耳まで真っ赤にしたアズールは、ガイアから離れて猛ダッシュして去っていってしまった。
「えっ…?あ、あぁ」
取り残されたガイアは、ポカンとしたまま一人頭を傾げていた。
(もっ…もぅっ!
父さんのあんな綺麗な笑顔真正面から見たら恥ずかしくなっちゃうじゃないかぁあっ…!)
「アズール…。全く変な奴」
クスリと笑いながらガイアは ポケットから取り出した棒キャンディを口に含んだ。
…―――
その後…
「父さんっ!言い忘れたけど、好きって言ってくれてありがとう!」
「うわっ!?アズール、いきなり抱きつくな…!苦しい…」
「父さん〜大好き!!」
「わ…分かったから…頬ずりはやめろ…」
…それを遠くから見ていたマーク、ルキナ、ブレディ、ジェローム。
「わぁあ!あのお二人本当に仲がいいですよね〜」
「ええ!本当に…」
「お…おいマークにルキナ、あれは突っ込むとこじゃねえのか…?」
「…同感だ」
女性陣の笑顔に顔をひきつらせる男性陣であった。
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アズガイ表記でしたが、気持ち的にはアズ+ガイです(´^ω^`)父さん大好きっ子なアズール可愛いと思います。二人のキラキラマス会話も支援も可愛いくて可愛いくて…。
他の親子だとあんまりキラキラマス会話見られないんですが、アズールとガイアはかなり頻繁に見れるので、お前ら仲いいな!と思う訳です!
他から見ると親子関係を疑うようなスキンシップでも、二人はそんなに気にしてなかったらいいなーと!!二人には全然他意はなくて、普通に父さんとして好き、息子として好きって感じが理想。