小説 | ナノ
 
先ほどまでの涙とは違う、快楽に染まる青の瞳に、廉造の下半身がずくり…と熱を持ち始める。
熱い吐息を吐いて、燐の首筋を甘噛みし出した廉造に燐は少し高い、上擦った声を上げて目をぎゅっと瞑る。


「ぁ…!れ、んぞ…う…っ…ぁ、あ…」


「…っ、ふ…燐…歌ってるみたいやなぁ…」



耳許で低く囁いてやれば燐は羞恥の混じった吐息を洩らして びく、と反応する。
その姿に愛しさを感じられずにいられなくて、廉造は燐の肩を掴んで 体制を変えて押し倒した。
お互いの視線が絡み合い熱を帯びて溶ける。


囚われたら、逃げられない



歌詞のワンフレーズが燐の頭に浮かぶ。


こちらを射て離さない熱く蕩けそうなくらい甘い琥珀色に、燐は 廉造のことみたいだ、なんてぼんやり頭の隅で呟き、涙を忘れるくらいに廉造を抱き締めた。








12時過ぎたら魔法は解ける
偽りの言葉は無しにしよう
熱い指先 絡み合う
溶ける(溶ける)
囚われたら逃げられない



君がいなくちゃ枯れてしまう




「れんぞ……………愛してる………」




言葉に出来ないくらい愛おしくて、好きで、堪らない。
吐息と一緒に宙に溶けた愛の言葉は、彼に届いていただろうか。














夜の帳が降りたころ、二人は夜の闇に負けない程深く溶け合った。









…――



後日。
移動中の車の中にて。


「す…勝呂、雪男…俺今日はダンスとボイス練習休むわ…」


「は?奥村…珍しいな」


「どうしたの?兄さん」


「いや…あの、ちょっと…腰と喉が痛くて…」


僅かに頬を朱に染めて、目を泳がせた燐。
聡い勝呂と雪男はその仕草と言葉で全てを理解した。そして一瞬で二人の目の色が変わる。矛先は勿論廉造である。


「「…あンのエロピンク…!」」


眉間にこれでもかと言うくらい皺を寄せた勝呂が、前の席で寝ている廉造の首を腕で絞め、雪男はどこから取り出したのか…というか本物なのか分からない銃をガチャリと廉造のこめかみに押し付けた。


「…っが!!?ちょ…ぼぉおおん!止めてぇなぁあ…!て…若先生ぇええぇえ!?」


「黙れやこのエロピンクエロ魔神!奥村は歌手やぞ…!なに声出なくなる一歩手前までやっとんじゃ…!!!」


「兄さんに何したか言ってみろ10文字以内に言ってみろ。内容によっては…わかりますね?」


にこりと笑った雪男に廉造に戦慄が走る。


「せ…"セックスしましたっ☆"(☆入れて10文字)」




「「滅びろ」」


「え…ぎゃぁあぁあ!」




車内に銃声と廉造の悲鳴がほぼ同時に響いたが、燐や子猫丸、宝はいつものことだとほのぼの眺めているだけだった。
勿論運転手も恒例のことなのでもう免疫がついたのか突っ込みさえしない。
というか何やら悟ったような目でやり取りを見ているだけだ。


「(仲いいなぁ…)」





窓の外の流れていく景色を眺めながら燐は、形のいい唇をふっと和らげた。
そして誰にも気付かれないように小さく唇だけを動かして、呟いた。



"廉造、ありがとう…"





















今回の出来事が燐の次の新曲の歌詞に反映されることになるのだが、それはまた別の話である。









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