「祝っちゃおう」
遊「今日は父さんの誕生日なんだが…パイ投げかビール投げ、どっちがいいと思う?」
ブ「どっから突っ込もうか」
ク「ビール投げってのは、ビール瓶もろとも投げんのか?」
遊「じゃないと投げられないだろう」
ク「ビールを水風船に入れりゃ良くねぇ?」
遊「なるほど、その手があったか」
ブ「え、なんでビール投げの方が選ばれようとしてるの?」
遊「俺式、父親の祝い方」
ク「愛情を物理的にぶつけるのか。そりゃ気持ちは伝わるな」
ブ「伝わるだろうね。愛情っていうか、恨み辛みが」
遊「ならどうしろと」
ブ「普通に祝うって発想がないんだ?凄いね」
ク「普通じゃつまらねーだろ。少しは機転を…」
ブ「なんで機転が傷害沙汰になってるの?」
遊「……じゃあ、ケーキでも作るか」
ブ「ケーキ作り以外、余計なことしちゃだめだよ?」
ク「余計なことって、例えば言ってみろよ」
ブ「さっきの発想みたいなことだよ」
遊「……仕方ない、別の案を考えておくか」
遊「クリームはできたか?」
ク「できたぞ」
ブ「飾り付けの準備もできたよ」
遊「よし、適当にクリーム塗るぞ」
ク「父親関連だとやること雑だな」
遊「大事なのは愛情だ」
ブ「その愛情がさっき醜く歪んでたんだけど」
遊「父さんは、俺が作れば無条件で喜ぶ」
ク「嫌な息子に育ったもんだ」
ブ「でも言ってることは間違ってないのがなんとも…」
遊「父さんには飴と鞭が一番だ。飴が愛情、鞭が雑なケーキだ」
ク「こりゃ一生忘れられないな」
ブ「色んな意味で忘れられないよ。ていうか、なんでこういう時だけ息が合ってるの…二人とも…」
遊「なんでだろうな」
ク「思考回路が一緒ってことか?」
ブ「………もしかして不動博士って…マスターの思考を元に、クロウのプログラムを弄ったんじゃ…」
遊ク「「!!!(ガタッ」」
ブ「だって二人とも…言い回しとか脅し方とか似てるよね」
遊「ま、まさか父さん……っ」
ク「俺が鬼とか言われるのは全て不動親子のせいってことか!」
遊「いや、そこで責任転嫁は可笑しい。お前が勝手に進化したんだろう、毒舌的な意味で」
ク「プログラムが勝手に進化するかよ。きっとお前の思考プログラムのせいだ。そうに違いねぇ」
ブ「なんで擦り付け合いになるのさ…」
不「ただいまーっ」
遊「お帰りなさい」
不「ただいまー、ゆうくん」
遊「父さん、誕生日おめでとうございます」
不「あれ?今日だったっけ?」
遊「忘れてたんですか?皆でケーキ作ったんですよ」
不「え?ケーキ?」
ブ「不動博士、誕生日おめでとうございますー」
ク「これ、皆で作ったぜ」
不「……斬新なケーキだね」
遊「家庭ケーキ作りは見た目じゃない、心です」
不「有難う、ゆうくん!!(ギュッ」
遊「はいはい、苦しいです」
不「クロウもブルーノも有難う!(ギュッ」
ブ「くっ、苦しいよ不動博士っ」
ク「埋もれてるっ息出来ねぇっ!」
不「ごめんごめんー!早速食べようかなっ」
遊「父さん、食べる前に一つ答えてください」
不「え?なんだい?」
遊「クロウに組んだ性格プログラム、もしかして元は俺のデータを参考にしました?」
不「………えっ」
ブ「マスターとクロウの思考が、少し似てる気がしたんですけど」
不「………え?」
ク「どうなんだよ、親父さん」
不「………まあ……だいたい合ってる」
ク「よし、俺が性格悪いとか言われるのは、確実に遊星のせいだと発覚したな」
遊「そんなはずがない。お前が勝手に性格悪くなったんだろう。俺はこんなに黒くない」
ク「お前、ちょっと自分と向き合って来いよ」
遊「人間、自分と向き合うことは一番難しいものなんだぞ」
ブ「しっかりデータが反映されてますね」
不「はは、双子みたいだろう?無意識に人の心を抉ってくるところとか」
ブ「そうですね」
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