「バレンタイン」









ア「ねぇ、遊星?もうすぐバレンタインだけど…チョコ準備した?」


遊「……いや?」


ア「え、準備してないの?てっきり準備してるかと…」


遊「バレンタインにチョコなんて、ありきたりだろ…って、クロウがこの前言ってたんだ」


ア「だからあげないの?」


遊「チョコはあげないが、別のモノをあげようかと」


ア「へぇ…別のモノって?」


遊「それはバレンタインでのお楽しみだ」


ア「えーっ何よ、教えてよ遊星ー!」


遊「だめだーっ!当日までの秘密!」


ア「もう、遊星ったらー」












鬼「地球滅ばねぇかな」


JA「真顔でどうした」


ク「つか、そんな真剣な顔つき出来たんだな」


鬼「地球マジ爆発しねぇかな」


ク「落ち着けよ。一体何なんだよ」


鬼「もうすぐアレだよな…」


JA「アレ?……あぁ、バレンタインか」


鬼「そうだ!醜い男共の嫉妬と欲望と殺意が渦巻く、あの地獄のイベントだ!」


ク「それ全部お前の事だろ」


JA「そうか、チョコを貰えない部類なんだな、貴様は」


鬼「ねぇ、俺を見て頷いて納得しないでくれる?」


ク「まあ…友チョコ狙えよ」


鬼「その可哀想な者を見る目」


JA「下駄箱にチ●ルチョコ入ってると良いな」


鬼「え、どう頑張っても俺はチ●ル程度なの?」



++++++++++++++++++++










――当日








鬼「………」


JA「鬼柳、チ●ル貰えたか?」


鬼「チ●ルどころかチリも貰えてねぇよ」


JA「可哀想に」


鬼「その憐れんだ目を止めろぉ!!しかもなんだお前!その袋!」


JA「チョコだ」


鬼「くそおおお!裏切り者おおおお!」


JA「勝ち組というのは気分が良い」


ク「どんまい鬼柳(ポンッ」


鬼「お前の顔も笑い堪えてる顔じゃねーか!!腹立つ!」


ア「今日も賑やかね?おはよう」


遊「おはよう」


JA「おはよう。今日は早いな」


ア「バレンタインだからよ。不服だけど…貴方にもあげるわ(ポイ」


JA「こんなに嬉しくないバレンタインは初めてだ(キャッチ」


ア「はい、鬼柳にも」


鬼「!?俺に!?」


ア「えぇ、そうよ」


鬼「生きてて良かったああああああああ!!」


ア「……こんなに喜んで貰えたのは初めてよ…」


鬼「入学してくれて有難うございます!!」


ア「この時期に入学お礼されるのも初めてよ」


JA「病気だ、放っておけ」


ア「後、これクロウに」


ク「お、サンキュー」


ア「そしてブルーノはっと…居た居た…(パタパタ」


遊「はい、ジャック。友チョコ」


JA「言われなくとも分かっている」


遊「これ、鬼柳の分」


鬼「遊星!!信じてたぜ!!」


遊「そこまでのことなのか?」


JA「………」


ク「………」


鬼「………」










鬼「あれ、クロウの分は?」


遊「ないぞ」


ク「!?」


JA「ない…だと…?」


ブ「おはよー!遊星も今日早いんだねー」


遊「あぁ、丁度良かった。ブルーノ、これチョコだ」


ブ「あ、有難う遊星!」


遊「そうだ、牛尾にもあげるんだった。職員室行ってくる」






――バタンッ






鬼「……ジャック、ちょっと俺の顔抓ってくんねぇか?」


JA「(グリィィッ)」


鬼「い゛でぇえええええ!!!」


JA「夢…じゃないな」


鬼「いってぇ…いっt夢じゃない!?」


ブ「え?何かあったの?」


鬼「遊星からクロウへのチョコが無いんだ!」


ブ「……ジャック、ちょっと僕の頭ぶってよ」


JA「(ガツンッ)」


ブ「痛いッ!!……夢じゃない!?」


ク「………」


鬼「お、おいクロウ…大丈夫か?」


ク「泣いていいか?(グスッ」


JA「すでに泣いてるぞ」


ブ「クロウ、何か下手なこと言ったんじゃないの?」


鬼「えぇー?まさかクロウがそんな」


JA「言うわけないだろう、クロウがそんな…」


ク「言うわけないだろ、俺がそんな…」


ア「あら、記憶にない?」


ク「……へ?」


ア「貴方、この前言ったそうじゃない?『バレンタインにチョコはありきたり』って」


ク「言った……気がしないでもねぇ」


JA「成程、記憶が曖昧ってことか」


ク「俺…の…馬鹿野郎!!!(ドゴッ」


ブ「うわぁああ!!クロウ何やってるの!?棚の角に頭ぶつけたら危ないよ!」


ク「俺の馬鹿!アホ!いかれポンチ野郎!!今すぐ過去の俺を消してくれええええ!!(ゴンッゴンッ」


鬼「おぉおい!止めろって!!落ち着け!!」









――ガラッ







遊「ただいま。どうした?なんか騒がしいな?」


鬼「ゆ、遊星!クロウがやべぇ!」


遊「どうやばいんだ?」


鬼「色々とやべぇ!」


遊「……まあ、大変なのは伝わった」


ク「……ダイジョブ、モンダイナイ」


ア「血、出てるわよ」


JA「しかも片言だぞ」


遊「何をどうしたんだ?」


ブ「突然、頭を机の角にぶつけ始めて…」


遊「……ついに一人SMに?」


ア「残念ながらそうじゃないわ」


遊「保健室に行って手当してやるから、そこで理由を聞こうか」


ア「そうね、連れてってあげて」




+++++++++++++++++++++









遊「で、どうしてお前は血まみれになってたんだ?」


ク「………いや、その…」


遊「その…なんだ?」


ク「……俺だけ…貰ってねぇから…」


遊「あぁ、なんだそのことでか。別にショック受ける必要はないぞ?」


ク「…どういうことだ?」


遊「俺があげないのはチョコだけであって、他のモノはあげるぞ?」


ク「……そう、なのか?」


遊「あぁ、そうだ」


ク「……なんだよー、そういうことかよー…」


遊「なんで逆に考えなかったんだ?俺がクロウにあげないはずがないだろう」


ク「そうやって自信満々に言われると救われるぜ…」


遊「まあ、用意してるには用意してるんだが…」


ク「いや、それよりも」







――ボフンッ







ク「遊星が、欲しいんだけど」


遊「……馬鹿、俺は最後だ」


ク「好きな物は、最初に食う派なんだよ(チュッ」


遊「ん、悪いが俺は最後に食う派なんだ」


ク「知ってる。でも、今日はバレンタインなんだし、彼氏の我が儘くらい許してくれよ」


遊「……いつも、許してるじゃないか」


ク「……それもそうだな(チュッ」


遊「んぅっ」


ク「……可愛い」


遊「(やばいな、クロウに火が点いたか…。アキにメールを入れよう)クロウ」


ク「ん?」


遊「20秒だけ、おあずけ」


ク「……数えとくから」


遊「あぁ」














――…〜♪







ア「あら、メール?」


鬼「誰から?」


ア「遊星よ。……成程」


ブ「遊星、なんだって?」


ア「四限目まで遅刻扱いにしてくれ、だって」


JA「…またか」


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