「旅行に行こう!」





ク「え?温泉旅行?」


不「そう!今度の週末を利用してね、家族水入らずで温泉旅行に行くことになったんだよ」


ク「へぇ、ゆっくりして来てくださいよ」


遊「何言ってるんだ、クロウも行くんだぞ?」


ク「……は?だって今、家族水入らずって…」


月「どうやら二人の中では、クロウ君は既に不動家の一員みたいなのよ」


ク「は!?」


不「でね、日程なんだけどー…」


ク「ちょっと待ってくれっ!何で俺まで!?」


不「クロウ君が不動家の婿だから?」


ク「だから俺はまだ高校生ッ!しかも一年!」


不「問題ない」


ク「あるある!!問題たんまりある!!」


遊「俺は…クロウと旅行に行くの楽しみだったんだが…ダメか?」


ク「うぅっ……そう言われると弱い…っ」


不「ね!クロウ君!行こうじゃないか!行くよね?!」


遊「クロウ…行ってくれるよな…?」


ク「…………わ…かりました……」


不「よし!!それじゃあ日程なんだけどね!」


遊「父さん、俺ここに行きたいんですけど」


不「パパはここにも行きたいなー」











月「……ごめんなさいね、クロウ君…」


ク「………いえ…もう…慣れたんで…」


月「慣れちゃったの…ごめんなさい……もう、うちの人と遊星は…こういう所だけ似ちゃってて…」


ク「仲良し親子って…良いと思います…」


月「本当にごめんなさいね、クロウ君…」


ク「……お袋さんだけでもまともで良かったです…」










遊「クロウ!クロウは何処に行きたい?」


不「私はここが面白いと思うんだけど…!」


月「もう、少しは落ち着きなさい!とくにパパ!!」


不「えー!」


月「えー、じゃないの!クロウ君、ところで…バイトの予定は大丈夫なの?」


遊「あ……」


月「遊星…クロウ君のバイトの都合忘れてたわね?」


遊「ごめんなさい…」


ク「今度の週末は…ずっとバイト入ってます…」


月「ほらみなさい。クロウ君の都合を最優先に考えないでどうするの?」


不「申し訳ない」


遊「ごめんなさい」


ク「あぁ…でも…店長にはなんとか休み貰うんで…」


月「無理しなくてもいいのよ?」


ク「そうですけど……そりゃ、俺だって遊星と旅行行きたいし…」


遊「クロウ……(キュンッ」


不「(あ、今のゆうちゃん可愛い)」


月「あなた?」


不「はい、すいません」


ク「明日辺りに…店長に聞いてくるよ…」


不「なら、私も一緒に行こう」


遊「何で父さんが?」


不「フフ、クロウ君のバイト先の店長はね、私の昔からの顔なじみなんだよ」




++++++++++++++++++










――1日目








不「さあ、出発しようか!!」


ク「マジで説得したよ……」


遊「父さん…バイト先の店長になんて言ったんだ?」


不「別に?単純に、クロウ君と旅行行きたいから休み欲しいって言っただけだよ?」


ク「……親父さんが微笑んだ時の店長の真っ青な顔が忘れられねぇ…」


月「昔は色々やんちゃしてたせいかしらね」


遊「父さん……」


不「別に無理に休みを奪ったわけじゃないから良いじゃないか!」


遊「いや、そういう問題じゃ…」


月「もう良いわよ、帰って来てからお礼と謝罪を言いに行くから」


ク「……すいません」


月「クロウ君のせいじゃないわよ?悪いのは全部うちの人だもの」


不「………」


遊「……母さんとクロウって似てるな」


ク「は?何処が?」


遊「辛辣さが」


ク「………」













月「まあ、また綺麗な海ねー」


遊「母さん、あそこの灯台が展望台として使われているみたいですよ」


月「へぇ、行ってみましょうか?」


不「そこの岩場は足元が悪いから、ゆっくり行くんだよ?」


ク「うーん…確かに足場が悪ぃな…。遊星、しっかり捕まっとけよ?転ぶぞ」


遊「あぁ、分かった(ギュッ」


不「いやぁ、青春だねー若いって良いな」


月「はいはい。ほら、私たちも行きましょう?(ギュッ」


不「うん、行こうか」











遊「父さん、嬉しそうだ」


ク「お前んとこの夫婦は、いつでも新婚気分だな」


遊「……あんまり自覚したくないが、俺達も未来はあんな感じじゃないか?」


ク「……やばいな、否定できねぇ」


遊「否定できないという事は、俺を離す気はないと?」


ク「当たり前だろ…何言ってんだよ」


遊「そうか、ちょっと安心した。早く展望台に行こう、クロウ」


ク「たくっ、お前は変なとこで不安になるよなぁー」


遊「人の事言えるのか?」


ク「言えないな」


遊「なら、お互い様だろう?」


ク「……それもそうだな」


遊「ほら、早く展望台に行こう」


ク「お前、意外と楽しんでんな」




++++++++++++++++++++










遊「父さん、今日泊る旅館って何処なんですか?」


不「そろそろ見えてくるはずだよ」


月「……あ!あれよ、あれ」


ク「でかっ!!」


遊「……いくらしました?」


不「………」


遊「父さん……?」


月「あぁ、遊星…今回はママの我が儘なのっ」


遊「母さんが?」


月「あの旅館、どうしても泊ってみたくて…ごめんなさい」


遊「……まあ、母さんの我が儘なら…仕方ないですけど…」


ク「親父さん、苦労してんな…(ボソッ」


不「家庭内の格差社会って…厳しいよね…(ボソッ」











月「すごーい!ひろーい!!綺麗ー!」


遊「……いくらしました?」


不「ゆうちゃん、値段は聞くもんじゃないよ」


月「ほら、遊星!こっち来て!外も凄い眺めよ!!」


遊「あ、はい(パタパタ…」


不「ママ本当楽しそうだなー…私の妻も子も可愛いなぁー」


ク「親父さん、顔がだらしない…」


不「むっ。クロウ君、君もしっかり目の前を見てみなさい」


ク「はい?」


不「あのベランダで楽しそうに微笑むゆうちゃんの姿を!」


ク「あんなにはしゃいで可愛い」


不「フフ、クロウ君も私と同類なんだよ」


ク「でもなんか腑に落ちないな……」


月「あなた、有難う!やっぱりここ素敵よっ!」


不「ママが喜んでくれて、私も嬉しいよ!」


遊「外、眺め良かったぞ。クロウも見たらどうだ?」


ク「今日の夜見るわ。そっちの方が夜景もまた綺麗そうだしな」


遊「そうか、夜景も良いな」


月「そうそう!ここの温泉は基本的に混浴よ」


ク「は!!?」


不「ゆうちゃん、パパと久しぶりに入ろう!」


月「あらあら、あなたったら。そんなにはしゃいで」


ク「いやいやいや、ちょっと!ちょっとストップ!!」


遊「どうしたんだクロウ?」


ク「どうしたんだじゃねぇって!混浴!?聞いてないぞ!?」


不「言うの忘れてたからね!」


ク「何で忘れたんだ!?」


不「ほら、私は天然で忘れっぽいじゃないか☆」


月「もう、あなたったらー」


ク「突っ込み不在!!遊星も何か言ってやってくれ!」


遊「何か問題でもあるのか?」


ク「この一家ボケしかいねぇ!!」


不「どうしたんだい、クロウ君?一人でそんなにエキサイトしちゃって…」


ク「だから!!俺はまだ高校1年!!彼女とその家族と混浴って、普通可笑しいだろ!?」


不「親同伴だから問題ないんじゃないかな?」


ク「親同伴でも良い事と悪い事ってのが……!!」


遊「俺はクロウと入りたいんだが……ダメか?(上目+頬染め」


ク「…………俺はどうしたらいいんだ」


不「入っちゃえば良いと思う」


月「大丈夫よ!私たちも居るんだから」


ク「何が大丈夫なのか分かんねぇ……」


不「夜もゆっくりしたいし、今のうちに温泉行っちゃおうか!」


ク「え゛!?」


月「行きましょう!行きましょう!ほら、遊星もタオルと浴衣持って!」


遊「え、あぁ、はい」


不「ほら、クロウ君も行こう!(グイッ」


ク「強制かよぉおお!!」



+++++++++++++++++++++++









月「温泉も広くて良いわねぇ!!」


不「本当だね、湯加減も良いしね」


遊「父さん、母さん」


月「なぁに?遊星」


遊「クロウが全くこっちを見なくて距離を置いてるんだが、どうすればいい?」


不「とりあえず、向こうの洞窟みたいになってる所まで追い込んで」


月「追い込んで逃げ場がなくなったら、思いっきり抱きつきなさい(グッ」


遊「分かった」










遊「クロウ!」


ク「ぅおお!びっくりした!!つか近い!もう少し離れろ!(バシャバシャ」


遊「クロウ……何で逃げるんだ」


ク「べ、別に逃げてない…っ(バシャバシャ」


遊「逃げてるだろう。水を掻いて逃げてるじゃないか」


ク「そういうわけじゃねぇって!良いからそこでジッとしてろ…!」


遊「(むっ……。こうなったら…)……うわっ!(バシャンッ」


ク「っ遊星!?お、おい!大丈夫か?!」






――ガシッ






遊「……フッ、掛かったな…(ニヤリ」


ク「は…ハメられた……!!」


遊「おい、こっちを見ろ」


ク「無理」


遊「大丈夫だ、タオルを巻いてるから」


ク「そういう問題じゃない」


遊「クロウ……、フゥ…5秒以内に向かなかったら別れる」


ク「ハッ!?(バッ」


遊「向いたな?」


ク「くそおおおお!!やられたあああ!」


遊「クロウ、そういう必死なところ好きだぞ(ギュッ」


ク「くっつくな!離れろっ!」


遊「理由を述べよ」


ク「我慢できなくなるから!」


遊「後のお預けだ!(キリッ」


ク「誘うな!!///」


遊「俺の体くらい見慣れてるだろう!」


ク「それとこれとじゃ話がちげーんだよ!///」











不「ふむ……あのゆうちゃんの色香に耐えるとは。やるねぇ」


月「クロウ君みたいな色々と必死な子、好きよ」


不「あそこで襲わないとは…私なら確実に無理だな!」


月「娘に手を出したら即通報するわよ?」


不「冗談だよっ!?」




++++++++++++++++++++++











不「クロウ君、お疲れ様」


ク「……どういう娘の育て方したんすか…」


不「そこは私はノータッチだよ。なんていうか…自然と?」


ク「もう俺の理性は限界…」


不「その辺も考えて、二人一組部屋にしておいたから、ゆうちゃん襲っても大丈夫だよ?」


ク「どういう気の回し方!?可笑しくね!?」


不「男って色々と不便だよね」


ク「そこで全てを悟るような目止めてくれ!!」


不「ゆうちゃーん!今日はクロウ君と二人部屋だから、ゆっくり楽しむんだよ?」


遊「?あぁ」


ク「絶対意味分かってない……っ」


不「ほら、見てご覧よ。ゆうちゃんの風呂上がり浴衣姿」


ク「………」


不「あぁいうのを、据え膳っていうんだよ?男は食さなきゃ」


ク「親父さん、それは何のアドバイスなんだ?」


不「私はクロウ君の味方だよ。……孫は三人欲しい」


ク「なんの要求してんだ!!」











ク「どっと疲れた……」


遊「一日目ではしゃぎすぎたか?」


ク「ちげーよ別のことでだよ…」


遊「マッサージしてやろうか?少しは楽になると思うが?」


ク「あー、マッサージねぇ…頼むわ。思いっきりやってくれ」


遊「あぁ、任せろ」


ク「にしても…お前の家族は本当仲良いよなぁー…」


遊「クロウもその一員になるんだぞ?」


ク「そんな先のことまで考えられねぇよ…」


遊「クロウは不動家の一員になるのは嫌か?」


ク「いや、そういう訳じゃなくてだな」


遊「今日はクロウの布団で寝る(ゴソゴソ」


ク「ちょっと?ごく普通に布団に入ってきて何?」


遊「クロウと寝たいんだ。駄目か?」


ク「理性飛んで襲ったらどうすんだよ」


遊「どんとこい」


ク「そんなにアッサリされると、余計に手出せねぇわ」


遊「もう一週間もシてないぞ?」


ク「……ヤりてぇの?」


遊「クロウがヤりたいのなら良いけど?」


ク「……誰だよ遊星をこんな子に育てたのは」


遊「お前以外ありえないだろう」


ク「確かにそうだな。なら、責任取りますか(ガバッ」


遊「……結局は、クロウの我慢の限界だったんだろ?」


ク「まあ、そうとも言う。寝るの遅くなるけど、我慢してくれよ?」


遊「寝るのが遅くなるのはいつものことだ」


ク「なら良いけど?明日、辛いかもしれないけど、勘弁な?(ニコッ/ナデナデ」


遊「(クロウ…本当に優しい…////キュンッ)」











不「覗きたい」


月「駄目よ」


不「そんなこともあろうかと、ボイスレコーダーをこっそり枕に仕込んでおいた」


月「通報するわよ?」


不「ごめんなさい」



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