「好きな食べ物を知りたいの」




杏「遊星、最近はどうなのよ?」


遊「どうって…何がです?」


杏「決まってるじゃない、クロウとの仲はどうなのよ?」


遊「あぁ……仲……ですか……(シュンッ」


明「……え?上手くいってないの?」


ア「あ、いいえ…遊星はその…ちょっと悩み事があって…」


明「悩み事?」


遊「……付き合ってかなり経つのに…クロウの好きな食べ物を知らないんです…」


杏「え!?それは意外ね…知らないことなんてなさそうなのに…」


ア「その事に最近気づいて、落ち込んでしまって…」


明「クロウ君は気にしてなさそうなのにね」


遊「俺の好きなモノは向こうは知ってるのに…肝心の俺が知らないのは…」


杏「聞いちゃえば良いじゃない?」


ア「今更って感じで、聞きにくいそうです」


明「まあ、その気持ちは分かるわねー…」


遊「聞きたいけど…不甲斐なくて…」


杏「しょうがない!可哀想な後輩の為に、先輩が手伝ってあげるわ!」


明「杏子さん、何か良い案でも?」


杏「任せなさい!」


ア「杏子さんカッコイイです」




+++++++++++++++++++++









杏「やっほー、今日も元気そうねー」


鬼「こんちゃー。どうしたんすか?」


杏「ん?たまには後輩の教室に遊びに行こうかなーって。ね?アキ?」


ア「なにも無いですけどね」


杏「そんなことないわよ、この教室に名物が目の前に居るじゃない」


鬼「……俺か!」


杏「そ、アンタ」


鬼「俺は3年の間でも有名なのか、まいったな」


ク「頭が残念な意味で有名なんだろうよ」


鬼「今日もキツイね」


杏「そうそう、今度調理実習があるんだけど、参考までに好きな食べ物教えてくれない?」


明「(ここで!その質問を?!)」


ア「(さすが杏子さん!流れが自然だわ!)」


遊「(杏子さん…っ、すいません俺の為に…っ)」


ク「遊星、そんなとこ居ないでこっちこいよ。膝の上ー(ニコニコ」


遊「あ、あぁ(座」


鬼「ちぇっ、リア充め」


ク「悔しいなら爆発しろ。そして果てろ」


鬼「なんで俺が爆発!?……俺の好きな食べ物ねー…唐揚げとか炒飯とかそういう感じの?」


杏「家庭的なものばっかね」


ア「家庭の味に飢えてるの?」


鬼「なんだその憐みの目。俺は家庭料理が好きなんだよー」


杏「結構意外。ジャンクフードばっか食べてそうなのに」


鬼「実際はそうなんだけどもね…」


明「じゃあ、クロウ君は?好きな食べ物」


ク「俺?そーだなー……」


遊「(ドキドキ…)」


ク「んー……俺の好きな食べ物か……」


鬼「何でそんなに考え込んでんだ?」


ク「いや、基本的に嫌いなもんとかねぇからな。一番好きなのって何だろ…」


ア「(これは手強いわね)」


杏「パッと思い浮かんだものでも良いのよ?参考までに聞いてるんだし」


ク「うーん……あ」


ア「あったの?!」


明「なに!?なにが好きなの!?」


鬼「なんでそんなに喰い付いてるの!?」


ク「俺が一番好きなのは、アレだな……遊星の作った料理全部」


遊「!!」


鬼「……なんでそこ?」


ク「だって、俺の舌は遊星の料理で鍛えられたもんだし…最近、遊星の手料理じゃないと食った気にならなくてなー…」


杏「……御馳走様」


遊「クロウ……っ!(ギューッ」


ク「うおっ!ど、どうしたんだよ?」


明「余計な心配だったみたいね(ボソッ」


ア「本当ですね(ボソッ」


鬼「え?何が?何の事?」


遊「クロウ…本当好きだ…っ」


ク「は?!///いや、嬉しいけど…え?マジでどうしたんだ?」


杏「後はお二人に任せて、購買にでも行きましょう」


明「そうですね」


ア「ほら、貴方も行くわよ(グイッ」


鬼「俺も?!え?今の状況が分からない!(ズルズル…」




++++++++++++++++++++++







ク「な、なぁ遊星?マジでなんなんだ?」


遊「いや、その……ほら……」


ク「?言い難いなら、別に無理して言わなくても良いぜ?」


遊「……いや、大丈夫だ。…その、クロウと付き合って…かなり経つよな?」


ク「まあ、そうだな?」


遊「なのに…クロウの好きな食べ物を知らないことに今頃気づいて……」


ク「……もしかして、そのためにあの三人に手伝ってもらったのか?聞きだすのを?」


遊「……うん」


ク「成程なー…まあ、俺も言ってない事に今更気付いたもんな。お相子だろ?」


遊「でも、これでもショックだったんだぞ」


ク「俺の好きな食べ物、教えてやったんだから期待してるぜー」


遊「ん、いつでも作るよ」


ク「そんなことで悩んでた遊星かーわいいー(ニヤニヤ」


遊「……俺にとっては一大事だったんだ…っ///」


ク「俺の事で悩んでくれるなんて、愛されてんなー俺」


遊「当たり前だろう…、クロウが大好きなんだから…っ///」


ク「うっ……今のキた…あー、遊星マジ可愛いー好きだーっ!(ギューッ」


遊「お、俺の方が好きだ…っ!(ギューッ」


ク「おー?好きさなら負けねぇぞ!(ギューッ」


遊「俺だって!(ギューッ」









JA「(ここが教室だと言う事を忘れてるな…他の生徒が居るというのに…)」



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