「家出@」
――ピンポーン
ク「ん?誰か来る予定あったっけか?……はいはいー」
――ガチャ
ク「お、なんだ遊星か。どうしたんだ?」
遊「悪い、連絡も無しに来てしまって…」
ク「いや、それは良いんだけどよ…。まあ、上がれよ」
遊「お邪魔します…」
ク「そんで?どうしたんだ?お前が連絡なしに来るなんて珍しいじゃねぇか」
遊「実はな、家出してきた」
ク「へぇー家出!思いきったことをしたもんだな、お前g…家出!!?」
遊「見事に反応が鈍かったな」
ク「家出ってどういうことだよ!?なんかあったのか?!」
遊「ちょっと……父さんと喧嘩になったんだ」
ク「訂正して良いか?喧嘩じゃなくて、遊星が一方的に喧嘩したんだろ?」
遊「そうとも言う」
ク「だろうよ…あの親父さんが遊星に怒るとこなんて想像できねぇよ」
遊「怒ることは怒るんだぞ?父さんは怒ると怖いからな」
ク「で?喧嘩の原因はなんなんだ?」
遊「父さんが…俺の話を聞かないのが悪い」
ク「……でも家出はねぇだろ?両親が心配するぜ?」
遊「大丈夫だ、母さんには言っておいた」
ク「それは既に家出じゃねぇよ。ただのお泊りだ」
遊「とにかく、父さんが反省するまで帰るつもりはない」
ク「それで俺の家に来たのか?普通さ、そういう時はアキの家に行くもんじゃねぇ?」
遊「……そうは思ったんだが…ほら、クロウは…恋人だし…///」
ク「(なにこれ、すっげぇ可愛い)」
遊「く、クロウを頼りにした方が…良いと思ったんだが…///いや、クロウが迷惑なら…アキの所に行くから…」
ク「め、迷惑じゃねぇよ!ちょっと不思議に思っただけだってっ!//」
遊「じゃあ…ここに居て良いのか?」
ク「おう!勿論だ!」
遊「有難う、クロウ」
ク「あ……でも、俺これからバイトなんだよ。だから、留守番頼んで良いか?」
遊「あぁ、勿論だ」
ク「じゃあ、頼むよ。……そろそろ行く準備しないとなー」
遊「何時頃に帰って来れる?」
ク「そうだなー……今日は土曜だから、客の入りも多いだろうし…遅くなりそうだな」
遊「そうか。余り無理するなよ?」
ク「大丈夫大丈夫、結構休憩も多いからな」
遊「それなら…良いんだが…」
ク「まあ、出来るだけ早く帰って来れるようにするからよ」
遊「その間に、簡単に掃除でもしておくよ」
ク「お前も、ゆっくりしてていいんだぜ?」
遊「じっとしてるのは性に合わないんだ」
ク「ま、お前らしいけどさ。そんじゃ、行ってくるなー」
遊「あ、ちょっと待った、クロウ!」
ク「ん?」
――チュッ
遊「い…行ってらっしゃ…い…///」
ク「い……行ってきます……っ///」
――バタンッ
遊「……っ、我ながら恥ずかしい事をした…///」
+++++++++++++++++++++
クロウもバイトに行った事だし、軽く部屋の掃除をするか。
クロウは家庭的だから、きちんと掃除するからな…片付いてるし、掃除機を掛ける程度で十分か。
物も少ないから掃除もしやすい…父さんの部屋と大違いだ。
そういえば、鬼柳が言っていたな…クロウのベットの下を念入りに見ろと。
そんなこと言われても何も無いんだが。鬼柳のベッドの下には何かあるとでも言うのだろうか?
鬼柳に後でメールでも入れてみるか。
よし、掃除も終わったし…次は夕飯の支度でもするか。
冷蔵庫にあったもので出来るもの…うーん、クロウの好きなものを作りたいが…。
そもそも、クロウは何でも食べるからな…好きなもの……。
あれ……もしかして俺…クロウの好きなものを知らない……?
そ、そんな馬鹿な…!!それは彼女として良いのか?!
か、帰ってきてでも聞かなきゃいけないな…っ
とりあえず…今日は無難に……野菜炒めとかそんなものでも良いか…。
そうだ、風呂も入れておくか。
++++++++++++++++++++++
ク「お疲れ様っしたー!」
店「お疲れーっ!また頼むよ!」
ク「うぃーっす」
あーやっべぇな…マジで遅くなっちまった。
もう深夜の1時かよ……今日は異常に客の入りが凄かったからなぁー…。
流石に遊星はもう寝てるよなー。
こんなに時間掛かるとは思わなかったな…くそぉ、今日ぐらいは早く帰らせても良いじゃねぇかよ…あのクソオヤジ共め…っ!!
彼女が家で待ってるって教えてやった途端に、人使いが荒くなりやがって…!!
今度覚えてろよ……寂しい財布の中身を全部除外してやるからよ……っ!!
あぁああぁあ遊星マジすまねぇーっ!ちょっとコンビニ寄ってあいつの好きな物買ってやるかーっ!
+++++++++++++++++++++++
――ガチャッ
ク「ただいまー……」
遊「お帰りクロウ、お疲れ様」
ク「え、まだ起きてたのか?」
遊「俺が寝てしまったら、誰が疲れたクロウを出迎えるんだ?」
ク「…………遊星ぇええ!!(ギューッ」
遊「く、クロウっ?」
ク「あぁーもう!マジ好きだわ遊星っ!!健気っ!」
遊「大げさだろう、クロウ?」
ク「普通なら寝ちまうって!!俺、遊星のそういうとこも本当好きなんだよなーっ」
遊「////……俺も好きだ…///」
ク「遊星…っマジで可愛い…っ!あ、そうだそうだ…これ」
遊「ん?どうしたんだこれ?」
ク「いや、遅くなっちまったから…お詫びとしてお前の好きなもの買って来たんだよ」
遊「こんなに?」
ク「本当はもっと買いたかったんだけどよ、あまり多く買っても困るだけかなーって思ってさ…」
遊「フフ、馬鹿だなクロウ。俺はクロウが帰って来てくれるだけで十分なのに…」
ク「遊星……お前が好きで良かったぜ…(ギュッ」
遊「ん、俺も…///……そうだ、クロウ?夕飯まだだろう?」
ク「……あー、そういや食ってなかったな」
遊「夕飯は作ってあるから、温めるよ。その間に風呂に入って来ると良い」
ク「夕飯も作っておいたのか?風呂も?」
遊「クロウが喜ぶかと思って…」
ク「その通りだよ、すっげぇ嬉しい。じゃあ、風呂入って来るな。もうくったくたなんだ」
遊「ゆっくり浸かると良い、風呂も温めておいたから」
ク「色々とありがとな、遊星」
遊「俺がこうしたいんだ、気にしないでくれ」
++++++++++++++++++++
ク「そろそろ寝るか、バイトで疲れたし…。遊星ベット使えよ、俺は床で寝るからさ」
遊「いや、クロウがベットを使えば良い。疲れてるだろ?」
ク「いや、どの世界に女を床で寝かせる男が居るんだよ…。遊星がベット使えばそれで解決すんのー」
遊「なら、クロウとベットで寝る」
ク「……その顔は素だな。素で言ったんだな。そういうとこ怖いと思うわ」
遊「別に問題は無いだろう?ひっつけば寝れる大きさだ」
ク「俺が別の意味で寝れなくなる」
遊「子守唄でも歌ってやろうか?」
ク「いや、そういう問題じゃなくてだな…」
遊「クロウ、別に寝るだけだろう?ヤるわけじゃないんだから…」
ク「悪かった、俺が悪かった。だから遊星さん、少しは発言に恥じらいというものを持ってください」
遊「は?どういうことだ?」
ク「……もう、なんでもねぇよ…。いい!分かった!もう寝ようぜ!さっさと寝ちまおう!(ヤケクソ」
遊「?まあ、時間も時間だし、早く寝よう。クロウ、そっち詰めて」
ク「はいはい…」
遊「ベットから落ちないように、こうした方が良いかな…(ギュッ」
ク「――――っ!!」
遊「悪いなクロウ、落ちないように抱きしめた状態で寝かせて貰う」
ク「(耐えろーっ!耐えろ俺ーっ!俺だってバイトで疲れてるんだからなっ…!!)」
遊「クロウの体温、高くて気持ちいい…(ウトウト」
ク「(あぁああこういう時に限って…っ薄い服着やがってぇええ!!)」
遊「…………(ウトウト…」
ク「(ぅぅう……胸の感触がダイレクトに…っ耐えろっ、俺は出来る奴だろっ!)」
遊「……、クロウ寝ないのか…?」
ク「寝るっ!寝るぞ!」
遊「……随分と元気だな」
ク「んなことねぇよっ、寝る!もう寝る!おやすみっ」
遊「あ…あぁ、おやすみ」
ク「(あー……寝れそうにない)」
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