「記念日」









『携帯クロウL』







――不動家の祝日









――1月1日






不「明けましておめでとう、遊星」


遊「おめでとうございます」


不「はい、これお年玉」


遊「父さん、一応社会人です」


不「良いの、息子なんだから貰っておきなさい」


遊「父さん、封筒が分厚いです」


不「それでも抑えたよ!」


遊「父さん、これは父さんの小遣い分にしておきますね」


不「もう…ゆうくんお母さんみたいじゃないか」


遊「何とでも言ってください。お金は大事に取っておいて損は無いんですよ?」


ブ「(ただのお母さんだ)」


ク「(節約家のお母さんだ)」












――2月14日







ブ「マスター、そのダンボールどうしたの?」


遊「中身開けてみろ。全部チョコだから」


ブ「こんなに?そっか、今日はバレンタインってやつだね」


ク「これ全部どうすんだ?」


遊「食べるに決まっているだろう。気持ちを無下にも出来ない」


ク「全部食って糖尿病になればいいのに(ボソッ」


遊「お前に食わせてやろうか。身体の部品がイかれるがな(ボソッ」


ブ「(ぅわぁ……小声で叩きあってる…)」


遊「ブルーノ、そのチョコを全部棚の方に移動させておいてくれないか?」


ブ「うん、分かった」


ク「中に爆発物とか混じってれば良いのに(ボソッ」


ブ「クロウ、本当に爆発物とか毒物とか混じってたらどうするの?(ボソッ」


ク「助けるに決まってんだろ」


ブ「ツンなのかデレなのかどっちかにしてよ」











――3月14日







ブ「ホワイトデーだから大荷物だね」


遊「貰った分は返さないとな」


ク「なんだ、変なもんは混じってなかったのか(ボソッ」


遊「スリープ状態のクロウにこっそりチョコを食べさせた(ボソッ」


ク「てめっ、今なんつった!?」


遊「ふん、釣られたな!冗談に決まっているだろう!」


ク「この野郎…っ!!なんつー洒落にならねぇ冗談を…!!」


ブ「はいはい、今日も仲良いね(スルー」












――4月1日







ク「またプログラム書き変えやがったな!!」


遊「お前が何度も何度も懲りずに書き変えるからだろう!!」


ク「このプログラムは俺管理だ!!いちいち手を加えるんじゃねぇよ!!迷惑してんだぞこっちは!」


遊「こっちだって迷惑しているんだ!!どれだけ注意してもブラックリストを増やして!職場の人たちから、連絡が取れないと言われたんだぞ!」


ク「俺はデリケートなんだよ!ちょっとでも迷惑な内容が含まれる電話やメールは、即ゴミ箱に捨ててやるぜ!!」


遊「そのせいで何度俺の仕事が潰れたと思っているんだ!!全く、使えない携帯だ!」


ク「生憎だがな、その携帯(俺)を使いこなせてねぇ持ち主の腕の方を疑っちまうぜ!!」






ブ「ど、どうしよう…っ!今日はまた一段と激しい喧嘩を…っ」


不「大丈夫だよ、放っておきなさい」


ブ「でも…あれじゃあ、いつエスカレートするか…」


不「今日は何の日?」


ブ「え?今日?……今日は確か…4月1日…」


不「今日はエイプリルフール。あの二人の発言は、全部嘘だよ」


ブ「え…嘘?」


不「いやぁ、本心と逆の方を言うなんて、傍から見たら面白いねー」


ブ「エイプリルフール……」











ク「てめぇ今なんつった!!」


遊「お前こそなんて言った!!人を逆なでするようなことを言わなかったか!?」


ク「じゃあもういっぺん言ってやろうか!!この未熟者!!」


遊「なんだと!?この猪携帯がッ!!」




ブ「……本当に嘘なんですか?アレ」


不「………違うかもね」











――3月3日






ブ「今日は、街中がピンク色だったね?」


遊「今日はひな祭りだからな」


ブ「女の子を祝う日だっけ?だから街中に可愛いものが一杯あったんだね」


遊「まあ、我が家では関係ないがな」


不「でも、昔はひな祭りもやったんだよ?」


ク「女の子いねーのにか?」


不「ゆうくんが女の子みたいに可愛かったから、ゆうくんに着物着せたりねー…懐かしいなぁ」


ク「……その時の写真ねぇの?」


不「おや、見るかい?しっかりアルバムを作ってあるよ!」


遊「二人とも、脳天に桃の花を刺すぞ」


ク「携帯も脳天は弱点なんだぞ」


遊「分かってる。だから言ったんだ」


ク「この野郎」


ブ「でも僕も見てみたいな」


遊「見てもつまらないぞ」


ク「この態度の違いは何だ」


不「ゆうくん辛辣……」














――5月5日









遊「ほら、クロウ。ミニ鯉のぼり」


ク「……これを俺に渡して…どういうつもりだ?」


遊「今日は子供の日だからな」


ク「俺が子供だって言いてぇのか!!」


遊「身長がな」


ク「てめぇえええ!!俺はこれでも19だ!!」


遊「知ってる」


ク「知ってんのに子供扱いかよ!!マジで性質わりぃなお前!!」


遊「悪いな、たまに見た目で年齢を忘れてしまうんだ」


ク「その微笑みムカつく――ッ!!」


ブ「まあまあ…落ち着いてクロウ…」


ク「落ち着けるか!!馬鹿にされてんだぞ!!」


ブ「いや、これは遊星の愛情だって…」


ク「お前も相当毒されてんぞ!!」


遊「これが愛だ!」


ク「てめぇっ、ブルーノを味方につけやがったな!!なんて奴だ!!」


ブ「だから、遊星の愛だって…っ」


ク「正気に戻れブルーノぉおお!!!」













――7月7日







遊「たまには、外で夕飯を食べませんか?」


不「そういえば、今日は七夕か…外で星を見ながら食べるのも良いね」


ブ「外、すごい綺麗な星だよ」


遊「今年は天気が良くて星がよく見えるな」


ク「あれが天の川か?」


遊「あぁ。……ブルーノ、これ運んでくれ」


ブ「うん」


遊「クロウ、そこの窓を開けてくれ」


ク「はいよー」


遊「父さん、父さんはそれを運んでくださいね」


不「はぁーい」


遊「たまには、ゆっくり星を見るのも良いな…」


ブ「すごく綺麗だね……写真撮っておこうかな」


遊「そういえば、ブルーノには撮影機能があったな」


ク「ブルーノの赤目撮影モードって不気味なんだよな」


ブ「え?どうして?」


ク「真っ暗な場所で赤い目が二つ光ってたら、ただのホラーだろ」


不「まあ…確かに怖いね」


ブ「えぇー、そんなこと言われても」


遊「気にするな、俺は怖いとは思わない」


ブ「遊星……っ」


ク「お前、恐怖感情欠落してんじゃねぇの?」


遊「そんなはずはない。クロウの毒舌は怖いからな」


ク「毒舌で返してるお前が言うな」













――12月24日








遊「今日はホワイトクリスマスだな」


ブ「明後日まで雪みたいだよ?」


遊「このまま降り続くと後が大変だな、早く買い物を終わらせようか」


ク「まだ買うのかよ」


遊「仕方ないだろう?年末は仕事が忙しくて、買い出しに行けなかったんだからな」


ブ「今のうちにまとめ買いしなくちゃいけないってことだね」


遊「あぁ、そうだ。頑張って手伝ってくれたら、ちゃんとご褒美も用意してある」


ク「何だよご褒美って」


遊「帰ってからのお楽しみだ。早く買い物を済ませるぞ」










ブ「雪も激しくなって来たね」


遊「そうだな。……フッ…クロウ、雪が積もってるぞ?(パタパタ」


ク「両手が塞がってんだから仕方ねぇだろうよ」


ブ「そういう遊星も、雪が積もっちゃってるよ?(パタパタ」


ク「ブルーノも雪積もってんぞ」


ブ「本当だ、皆雪が積もっちゃってるね」


ク「さっさと帰ろうぜー、身体が冷たくて仕方ねぇよ」


遊「機械だから相当冷えてるだろうな。帰ったら、軽く熱したタオルで拭いた方が良いだろう」


ブ「あー暖かそうー」


遊「そうと決まったら、さっさと帰ろうか」


ク「俺は元々、寒い中出掛けるのは好きじゃねぇんだよなー」


遊「(何だかんだ文句言いながらしっかりついてきてるのは何でだろうな)」




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