「入居」





 4月3日 晴れ


 見上げれば、雲一つない青空が広がっている。
 そして、目線を前に移すと…











 ネオドミノシティのはずれにある洋館「隠遁屋敷」。
 ネオドミノシティの住民は、この洋館をお化け屋敷という。
 
 私は、そのお化け屋敷…基、隠遁屋敷の前に居た。
 今日からこの屋敷にお世話になる。日程は決まっていない。
 近くで見ると、シンッと静まり返った屋敷は迫力がある。相当な年代物の建物だ。




 屋敷の敷地内に入ると、屋敷の外観からは想像もできない綺麗な花々が目に入った。
 手入れが行き届いている。少なくとも、確かに人は居るようだ。
 屋敷の傍に離れがあった。きっとそこに管理人が住んでいるのだろう。
 離れの方に行き、扉を軽くノックした。
 すると、女性の返事が聞こえたかと思うと、すぐにその扉は開かれた。




「あら、お客様?」




 金髪の綺麗な女性だ。
 私の姿を確認すると、小首を傾げて聞いた。
 私が「どうも」とお辞儀をすると、女性はポンッと手を叩き人の良い笑顔を見せた。




「もしかして、今日からお世話になる…遊星さんかしら?」




 そう言うと、女性は会釈をした。




「初めまして。私は明日香、この屋敷の管理人をしています。宜しくね」




「……私は遊星です。お世話になります」















 管理人の明日香さんに屋敷の中へ案内されると、まず目に入ったのは内部の構造だった。
 洋館であるため、廊下は広く傷んでいるところもない。整備がきちんとされている内部だった。
 案内されるがまま、廊下を進んでいくと、【101】と書かれた部屋の前で足を止めた。




「はい、ここが貴女の部屋よ。鍵はこれね」




 丈夫な鍵を渡すと、明日香さんは部屋の扉を開けた。
 中は必要になるような家具は全て揃えてあり、ベッドも大きくフカフカ。
 窓も綺麗に磨かれていて、床も絨毯も新品のように綺麗だった。
 部屋自体もも広々してて、なんだか落ち着かない。




「何かあったら、何でも気軽に言って頂戴。良かったら、これ私の電話番号ね」




 明日香さんに渡されたメモ。忘れないようにとすぐにポケットにしまった。
 



「それから、屋敷の詳しいことは住民に聞くと良いわ。隣の【102】に人が居るから、聞いてみて」




 そこまで伝えると、明日香さんは手を軽く振って、離れの方へ戻って行った。
 私は手荷物をベッドの上に置き、バッグの中から手帳を取り出した。




「隣人に屋敷の事を聞け…か」




 手帳を手に、部屋を出た。
 目指すは、隣の部屋だ。

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