「住民関係」
ハ「あら……?」
ア「どうしたの、姉さん?」
ハ「紅茶の葉が切れてるわ」
ア「本当?使い切っちゃったのね」
ハ「仕方ないわね…ちょっと買いに行ってくるわ」
ア「あ、じゃあついでに茶菓子も適当に買ってきて」
ハ「分かったわ。戸締りはしっかりしてるのよ?」
ア「分かってるって」
ハ「早く帰って、本の続き読みたいわね…」
勇「あ、ハル」
ハ「あら、勇星。こんなところで何してるの?」
勇「遊兄に買い物頼まれたんだ。その帰り。で、ハルは?」
ハ「紅茶が切れたから買いに行ってたのよ」
勇「てことは、アキが留守番してんのか」
ハ「そうよ。だから早く帰らないと…」
勇「本当、過保護だな。別に一人でも平気だろ」
ハ「そうやって油断してると、何かあった時に冷静でいられなくなるのよ」
勇「じゃあ、聞くけど?レイヴンさんや優兄やキングがいるあのマンションに…犯罪者がくるのか?」
ハ「………」
勇「犯罪者よりも犯罪してそうなあの三人がいるマンションに、何か事件が起こると思うか?」
ハ「……事件を起こした犯人に同情するわ」
勇「だろ?だから大丈夫大丈夫」
ハ「……犯罪者よりも犯罪してそうな三人がいるのは、本当に大丈夫なのかしら?」
勇「………」
――ピンポーン
ア「はい?」
遊「あぁ、アキ。突然来てすまない」
ア「えっ、あ、遊星っ?ど、どうしたの?//」
遊「兄さんが大量にお菓子貰ってきてな…あまり家にあっても仕方ないから、アキたちはいらないかな…と思って」
ア「そ、そうなの?全然嬉しいわっ」
遊「そうか?迷惑じゃなかったら、貰ってやってくれ」
ア「……意外と…多いわね…」
遊「すまない」
ア「う、ううん!いいのよっ!丁度茶菓子も無くなってたところだったから…っ」
遊「そうか?それなら良かった…」
レ「よっ!お二人さん揃ってー、こんにちは」
遊「あぁ、レイヴンさん…こんにちは」
ア「――――ッ」
レ「……あの…そこまであからさまに怯えられると…さすがの俺でもかなりショックなわけで…」
遊「大丈夫だアキ、レイヴンさんは見た目よりも良い人だから」
レ「(見た目は否定された…)」
ア「あ…その…な、なんのご用で…?」
レ「……前にさ、花の苗欲しがってたろ?」
ア「え?えぇ……」
レ「知り合いにさ、花の苗貰ってくれる人を探してる奴がいるんだ。良かったら紹介しようかと思った…んだけど…。お願いだから遊の後ろに隠れるの止めてくれねぇ?泣きたくなるから」
ア「そうなんですか…?」
遊「良かったじゃないか、アキ」
ア「あ、有難うございます…っ」
レ「そんじゃ…連絡入れとくから……うん」
遊「レイヴンさん、ここにクロウがいなくて良かったですね。今頃『ざまぁ』とか言われてますよ」
レ「本当だよ……」
ア「……ごめんなさい」
レ「いや…謝られると余計辛くなる……」
レ「クロウ……(ギュッ」
ク「あぁっ?!なんだよっ、今料理中だ!あぶねぇから抱きつくんじゃねぇっ!!」
レ「俺……もっとまともな人間になるよ…」
ク「!!?(ガシャンッ」
ル「あああああ!!フライパンがあああ!!」
ク「え……なに…?ダンプカーに頭でも追突されたのか……?」
レ「……人間の目ってこんなに冷たいもんだったんだな」
ル「……兄貴の可笑しさに…今日の夕飯が生贄になっちまった…」
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