(鋼龍と轟竜)
蒸し暑い日がこのところ続いていた。雪山にも夏の季節が来たんだなと感じる今日この頃。砂漠や熱帯の地帯程ではないが、毎年のようにこの地帯の気温も上昇する季節になってきたというわけだ。高くそびえ立つ頂きは一年中雪が残っているが、雪山の麓に残っていた雪は全て溶けてなくなり、木々の緑は一段と色濃くなってきた。また空は、いつも雲り空でどこかどんよりと薄暗さがあったが今日は晴れて快晴であった。青く晴れた空の遠くの方で積乱雲がモコモコと大きくなっていた。
(……あの雲うまそう)
ああ、なんて言ったっけ?ソフ…え〜、なんとかト、リーム?人間の食べるやつ、なんだっけ… ……あ、ソフトクリームだ。いや…、違うな、あれだアレ、ソフトクリームより綿飴だ。
ティガレックスはぼんやりと積乱雲を眺めていた。 彼の食欲は今日も健全である。
草木では虫が鳴いているのを聞くと、ああ、夏なのか……、と改めて感じる。前にいた砂漠には夏なんてない。ずっとそのままの気候だ。少し雪山の季節の変わりに珍しがっているティガレックスだった。
………………………
「…蒸れる」
ぐったりとクシャルダオラがうなだれていた。 「なんだか汗でしっとりしてきた」 暑い、と羽を羽ばたかせて自分自身の周りに風をお越し、涼んでいる…と思われる。 クシャルダオラは「な?そう思わねぇか?」と隣り腰降ろすティガレックスに問い掛けてみた。
(…いや、寧ろ動く方が労力の無駄だし、余計暑いだろ。)
「……目にゴミが入って痛いんだが」 ティガレックスが今すぐやめろばか、と付け足すとクシャルダオラは驚愕の表情を浮かべた。
「ちょ…、おま!何だよそのドライな反応!」
「…お前のばっさばっさ羽を動かしている方が見ていて暑苦しいわ!」
わーわーと隣りで喚く鋼龍。ティガレックスは何、いつもの事だ…、たいしたことない、と何事もないように視線を逸らした。 クシャルダオラはムスッとふくれる。
「…捻くれ屋さんだと言われないか?」
「うっせ」
大体、暑いなら雪山の山頂にでもいればいいのに。夏でも雪山の山頂は吹雪が吹く程寒い地帯である。 ティガレックスはため息を吐きクシャルダオラを呆れ気味に見上げた。そう、クシャルダオラとティガレックスの2体は只今麓に降りてきていた。それは何故か…、ティガレックスは毎度のこと捕食の為、狩りに来ていた。クシャルダオラはというと…特にすることはないが暇なのでぶらぶらしていた。
「あ〜っっつぅぅいぃー」 暑いよティガレっくん〜とクシャルダオラは擦り寄った。
「うわあああちゃちゃっ!熱っ!何ソレおま、ちょっ…!?」
……擦り寄んな!この鋼野郎、とクシャルダオラの頭にチョップを食らわしてやった。
「…げふっ」
今日は生憎の晴れ模様。さんさんと太陽の光が2体を照り付ける。 ティガレックスは今の暑さでも全然気にならないが、クシャルダオラは暑さと太陽光で体が熱くなっていた。
「脱げば?」
「Σ…ぬっ…!?」
クシャルダオラは吹き出した。
えええええ!?何、…え?どゆこと?俺、ここでサービスしないといけないの!?いやむしろティガレックス君、君まさかそっちの趣味をお持ちで!?え?脱がないといけない?脱がなかったら罰ゲームあるの?いやいやないないないない!自分でツッコミ入れてどうすんの!!
いきなり脱げ、なんて…、こいつは何を言い出すんだ!とティガレックスを見る。
「………………え!?」
聞こえなかったふりをする。確かめるために聞き返した。 ティガレックスはなんとなくクシャルダオラがまたしょうもないことを考えているんじゃないかなー…、と見てとれた。そういう時のクシャルダオラはなんだか情緒不安定になる。そわそわして顔が変ににやけているような…気がするからだ。
「いや…、だから、山頂に放置してある抜け殻みたいに脱げば、って意味で。」
涼しくなるんじゃね?とティガレックスは言う。
山頂の抜け殻…、ああ、フルフルのベビー達が寝床にしているあの脱ぎっぱなしの…… クシャルダオラは自分の中の変な興奮が治まった気がした。
「ああ、そういうことか。そういう意味か、よかったーはあー。」
「?」
「…でも結局また乾いてきたらいい感じにまたカチコチの鋼になっていくんだぜ?」
「そうなのか」
クシャルダオラはティガレックスにだめだなお前、と言われたが気にしない。
「それよりも、さっきは俺びっくりしちまったぜ?」 「?」
「…だってお前、時々いきなり爆弾投下してくるからさ」
「…?何の?」
きょとんとしてティガレックスはクシャルダオラを見る。
「…いや、だから、…脱げ、って…」
クシャルダオラはごにょごにょと吃る。ティガレックスは咄嗟にその意味を理解して「ばっ…!!」と顔を羞恥で赤らめた。
「へ、変な意味で言ったわけじゃねーぞ!」
「…いやぁ、ホント驚いたわー。ていうか俺、好きな子いるし、あ、それに俺、猫になるのはちょっと…、どっちかっつーとタチがいいし…ティガレックスが猫側なら?まだ?いいけど……(以下略)」
「…俺の話聞いちゃいねえぇぇー!」
今度はティガレックスがうなだれ、頭を抱えた。エンドレスにしゃべりまくるクシャルダオラに腹が立って怒鳴った。
「山頂行って頭冷やしてこい!」
「うおお!?」と驚いたクシャルダオラは流石に懲りた。首を竦めて調子に乗ってごめんよ、と最後に詫びていそいそと山頂に飛んでいった。
………………………
クシャルダオラは飛んでいる最中やりすぎた……と反省した。 どうしたって、ティガレックスと一緒にいると楽しくなってしまい、ついつい歯止めが効かなくなるのだった。 いつものたわいのない会話だけでなく、突然の爆弾投下発言も無自覚な所、無防備過ぎる所、全部引っくるめて好きだからついつい構いたくなるのだった。 でも真剣な話とかしようと思うと、恥ずかしくなって笑ってごまかしてしまう。
「はあ〜」
ヘタレか、俺は…とはははと笑ってみた。でも気分はいい。
どこまでも青い空が今日は続いていた。なんだか晴れ晴れしい気持ちなのは天気がいいからか… さっぱりというかすっきりするというか…、青い空はああ、なんとなくサバサバしてるあいつみたいだ。
「まぶしいなぁ…」
クシャルダオラは青い空を泳ぐように飛んでいった。
…………………………
「…やっといったか」 麓にひとり、なんか疲れたティガレックスは草の上にねっころがった。
「………」
いつもいつも笑顔が絶えない奴の顔が頭から離れなかった。なぜ、あんなに毎日毎日元気なのか… あいつがいると自分も心のどこか明るい気持ちになるのだった。
「…眩しいな」
ああ、そうだ、あいつは今日出ている太陽みたいだな…と思った。 一休みするか、と瞼を閉じた。瞼を閉じても浮かんでくるあいつの表情は太陽のように明るかった。
太陽と青空
外童子さんに捧げます! 相互記念品として書かせて頂きましたああああ!鋼龍と轟竜でした。gdgd! 意味わかんない文章でスイマセン!表現おかしいだろ!?って所が多々ありますスイマセン!!!!外童子さんの小説のような素敵なものを作りたいのになかなかできません!(アー!
久しぶりにクシャルダオラ君が出て来たので調子に乗った鵺でした。 こんな不甲斐ない奴ですがこれからよろしくお願いします\(^O^)/
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