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三和君とアイチ



「僕は櫂君にふさわしくないんだ‥‥‥」

チームQ4の全国大会決勝への道がなくなり、間違いなくへこんでいるだろうアイチとミサキに激励の言葉を言うため、三和は廊下を歩いていた。
なんて声をかけるべきか悩んでいたが、アイチがソファーに座り込み呟いていたので目を見開く。


「どうしたアイチ、ふさわしくないって‥‥なんかあったか?」

アイチの前に座り込み、同じ目線でじっと見つめる。

「三和君‥‥‥」


アイチはぽつぽつと話し出した。自分が後一勝でもしていたら決勝に進めたかもしれない。
結局櫂の足手まといになってしまった。

震える声で絞り出された内容は、以前の後ろ向きなアイチの姿で、いやそれ以上にネガティブかもしれない。

「櫂君はっ、あのレンって人と戦いたかったかものにっ」

レン、というとあの雀ヶ森レンだろうか。三和は、昼休みの様子からして櫂に何かあったのだろうと思っていたが、目の当たりにしていたなら責めるのも仕方ないだろう。


「‥‥‥確かにアイチが勝ってたなら決勝にいけたかもしれないな」

それは事実だ。そう三和が言うとアイチも顔をゆがませて、また自分を責めだす。
そこで三和はけどな、と言葉を続けた。

「そんなの結果を見たから言える結果論だ。アイチは一試合一試合、全力でファイとしてきただろ?
その試合に全力を出せなかったなんて後悔なんかしてないはずだ」


三和に同意を求められたアイチは後悔は、してない。と口にする。

「ならそれでいいんじゃねーの?
全国大会は年に一回でも、ファイトは毎日何回も出来るんだ。
この経験をいかしてさらに上に行こう、櫂にふさわしくなろうって思う方が俺は良いと思うぜ?」

にこっと、元気の溢れる笑顔をつくる三和にアイチは顔を上げて、三和を見る。

「三和君‥‥‥」
「けど、それを決めるのはアイチ、お前自身だ。アイチがどうしたいか、もう一回よく考えてみろよ」


三和はそこで立ち上がり、アイチを残してその場を後にした。



「あんた、結構良いこと言うじゃん」
「お、ねーちゃんみてたのか。
やっぱほっとけないじゃん、ああいうのって」

あれだけ櫂を追いかけてたアイチが意気消沈してる姿はいたたまれなかった。正直言った奴を殴りたいくらいにはイラついた。

「ま、アイチなら大丈夫っしょ」



...







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