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櫂三和



「なぁなぁ、午後の授業ってなんだっけ?」
「今日?今日は世界史と現文だよ、でその後委員会」
「ゲッ!まじかよ‥‥‥聞かなきゃよかったぜ」

もー三和君ってば!と周りから野次が飛ぶ。それでも三和は頬をかきながら文句を口にする。

「だってそうだろ?せっかく後少しで昼なのにその後がキツいなんて知りたくない」
「昼っていえば、三和は今日も櫂と食うのか?」
「は、櫂?‥‥‥まぁそうなんじゃね?」

いきなり櫂の話題を振られた三和は苦笑しながらも肯定する。
三和はクラスの中心だから昼も教室で食べれば人が集まる。
一方隣のクラスの櫂は一匹狼で唯我独尊、おまけにヴァンガード脳という非常に絡みづらい人物であり、隣のクラスでありながら櫂の中継のために三和が呼ばれることも珍しくない。


「三和君ほんと櫂君好きだねー」
「うーん‥‥‥好きとかどうこうより、なんか世話焼きたくなると言うか」
「お前オカンかよ!」

どっと笑いが起こるのと同時に四限開始のチャイムが鳴り響く。三和の周りにいた生徒はぞくぞくと自分の席に戻り、三和も机から英語の用意を取り出す。

三和は授業に集中しだす周りにほっと息をついた。三和自身、世界史や現文が苦手なわけではない。むしろ得意の部類にはいると本人は思っている。
それでもそれを口にしないのは、自分のおちゃらけたイメージや周りの反応を見越してのこと。

もちろんさっきの櫂と一緒にいる理由も少し違う。


確かに櫂の事はそういう意味で好きだし、世話を焼きたくなる。それに櫂の前では気張らなくてすむ。

ノートに黒板にかかれた文字を板書しながら、壁を隔てた先にいる櫂を思い出す。


「俺の前でうそをつくな」

以前、櫂の前で授業が面倒だとこぼしたときに言われた言葉だ。そのときの櫂の顔は非常に不機嫌な顔をしてたので、三和は思い切り首を縦に振り、現在に至るまでその言葉を守っている。
授業を面倒だと思ったことはないに等しいのがなぜバレたのか、最初は焦ったがお決まりのイメージしろの台詞で終えられてしまった。

結果的には家以外で息抜きが出来るようになり、三和自身助かっているのだが。

先生が熱心にラインを引いて英文を訳していく。
それを聞き流しながら、三和は今日の昼を食べる場所を考えた。

屋上、空き教室、中庭‥‥‥人がいない場所ならどこでも良いという櫂の事だから屋上を選択するだろう。
今日は天気もいいし櫂が午後の授業をさぼるかもしれない。

それはそれでこっちに害はないし櫂は成績もいいから構わないが。


先生の説明はまだ終わらない。テストが終わったばかりで生徒はだらけてるからか、かなり厳しく授業している。


あと三十分。終われば昼休み、たまには櫂以外と食べようかと思って止める。
あの唯我独尊ヴァンガード脳は恥ずかしい話だが、嫉妬した後の行動が怖い。
過去一回だけあった出来事からそう結論づけている三和は櫂が自分を嫌いにならない限り、ずっと昼は一緒だなとノートを取りながら口元をゆるめた。



ハイスクールRTA



RTA=リアルタイムアタック


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