いつでも俺は明るく笑う子に惹かれた。それは同い年の女の子だったり、年上もしくは年下子だったりした。
「だから今僕は激しく動揺してるよチェレン」
「Nのこと?そんなの今更じゃないか」
君たち付き合ってるんだろう?そう言うチェレンに思い切り首を振る。
それに今度はチェレンが驚かされる番だった。
「なに君たちあれだけいちゃつきながらつきあってなかったの!?」
「そう。後僕たちはいちゃついたつもりなんて全くないよ」
嘘だろとチェレンは頭を抱えたくなった。ブラックとNが異様なまでに一緒にいて、みんなすぐにあの二人は付き合ってるんだろうと結論づけた。
同性愛に否定的だった人まで祝福モードにしておいて、まさかつきあってないだって?
エイプリルフールでももっとましな嘘がつけるだろ。
「‥‥‥本当に二人とも好きだとか、付き合おうとか言ってないんだよね」
「言ってない」
そんな断言されてもこっちが困るよ。ずれ落ちそうな眼鏡をかけ直しながら、ブラックの言い分に耳を傾ける。
「この前二人でサブウェイにいったら、トレインにいる人にやたらと熱いねとか言われて、試しにNに僕たちって付き合ってる?ってきいてみたけど、Nも首横に振るからいいと思ったんだよ、そしたらサブウェイマスターがさ」
「ノボリさんたちが?」
チェレンが興味深そうに、相槌をうつ。
「いつみても仲睦まじいですねとか、あなた方のような恋人なら構内でいちゃつかれても構わないですとか‥‥‥‥‥‥‥‥恋人じゃないから」
「あー」
まぁ勘違いするのも無理はないきがする。彼らの行動は付き合ってるって勘違いしてもそれは当たり前なんじゃないだろうか。
腕組んで歩いてたり、食べ物を食べさせあったり、むしろ付き合ってないといえる人の方がむしろ貴重だと思う。
「で、二人で話したんだけど僕たちに付き合うとかそういう概念はいらないってなってね」
「そうだね。これから付き合ったところで今と変わらないだろうし」
そういえばNは本当にブラックを好きじゃないんだろうか、ブラックの冷ややかな視線はともかく、Nはどっちかと言えば恋してるような視線を向けてる気がする。
‥‥‥‥‥‥両者のバランスがとれてるようで、実はあわせてるなんて皮肉な話の気がする。
ブラックとNは見てくれは甘いケーキでも、中はビター風味のケーキみたいだと甘さ控えめのコーヒーを口に含みながら思った。
20120323