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世界から  が消えた日 *



主♂N

ある日言葉が通じなくなった世界の話



それは突然の出来事だった。その昔、神に近づきすぎた結果言語が分かれた伝承のように。

人々は言葉を違えた。

ブラックにとっても、それは一瞬の出来事だった。世界が白く染まったと思えば、周りの言葉が理解できなくなったのだから人々は混乱する。
指導者の言葉も文字すら理解できないのだから、人々は呆然とするしかなかった。
数字だけは共通だったのはせめてもの救いか、それとも神のきまぐれなのか人々は口を閉ざして暮らす様になった。

ポケモントレーナー達はポケモンとの意思疎通は変わらず可能だったことで、変わらない生活している。
ブラックは直系以外の言葉が通じない現状に、疑問を感じながらも変わることのなかった生活を続けている。
ただブラックは不便と感じつつも今の状況を楽しんでいた。


「トュイロ、ァイテヌルウショ」

言葉が分からなくなったからか、その音に耳を傾けるようになり全ての声が音が綺麗に聞こえて、この世界の暗い部分が隠れて消えてしまったように感じていた。


「ウェル、ラフェーレ」

ブラックは先ほどから一番きれいな音を聞かせてくれるNに向き直った。ポケモン以外での唯一楽しみは、恋人であるNの声を聞くことだった。
数学で使う記号で交わした電報のようなやり取り。

「ウェル、ラフェーレ」

ブラックはNの言った言葉を自分なりに発音してNに返す。
意味のわからない言葉を反復して、意味があるわけではないが二人はそれで満足だった。
その声が自分と同じ言葉を紡いだ。その幸せは計り知れないもので、ブラックとNはお互い考えるよりも感情を優先して言葉を交わし合った。

この二人の行動は、言葉が違って意味すらわからなくても、近くにいて触れ合えればそれだけで幸せなのだと言うことを教えてくれるような気がして周りには様々な言葉でありがとうと感謝を述べられた。


もし神に近づきすぎて、また言葉を奪われてしまったのだとしてもう一度あの頃に戻れる時が来たとしても来ないとしても、人のつながりは切れないのだろうとブラックは考える。


けれどもしまた同じ言葉で話せるときがきたら、いいつくせないほどの想いを伝えたいから、もう一度世界が白くなるときを世界中の人が待ち望んでいる。



世界から  が消えた日



end...


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